長崎大学は9月12日、関節リウマチ患者の中でも、臨床症状がほとんど現れておらず、血液検査での診断も困難とされる「早期リウマチ患者」の血清中に特異的な免疫複合体が存在することを発表した。
成果は、長崎大 医歯薬学総合研究科の大山要准教授、川上純教授、黒田直敬教授らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、欧州リウマチ学会誌「Annals of the Rheumatoid Diseases」オンライン速報版に掲載された。
関節リウマチは多関節に「滑膜」の炎症と増殖を生じる慢性疾患で、日本国内の患者数は70~100万人とされ、毎年新たに1万5000人が発病している。関節リウマチは早期発見・早期治療により治療効果が著しく高くなるため、早期発見できる診断方法が臨床上重要視されているところだ。
しかし、従来の血液検査では早期リウマチ患者の内の約2~5割が陰性となるため、臨床症状のみから診断せざるを得ないケースが多かったのである。
研究グループは独自に開発した免疫複合体の網羅的に解析する「イムノコンプレキソーム解析法」を早期リウマチ患者とリウマチ以外の自己免疫疾患患者に適用。血清中の免疫複合体を網羅的に解析した結果、早期リウマチ患者にのみ存在する免疫複合体を特定することに成功した。
さらに、従来の検査法では陰性となっていた早期リウマチ患者の50%に、この免疫複合体が認められた。今回の研究は、早期リウマチ患者の新たな血液検査法の開発につながる成果であり、研究グループは現在、検査用キットの開発に取り組んでいるという。