東京工業大学(東工大)とアステラス製薬は、東工大のスーパーコンピュータ「TSUBAME2.0」を活用した寄生原虫の治療薬候補の効率的探索を目的とした共同研究契約を締結したことを発表した。
世界では、未だに治療満足度が低く、さらなる医薬品の貢献が求められるアンメットメディカルニーズの高い疾患が数多く存在している。いわゆる「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Deseases:NTDs)」も地球規模での保健医療問題と位置づけられている。今回の共同研究は、NTDsの中でもリーシュマニア症、シャーガス病、アフリカ睡眠病などの疾患を引き起こす寄生原虫治療薬の探索を進めようというもので、今回の契約に基づき、同大学術国際情報センターの関嶋政和 准教授らの研究グループとアステラス製薬が共同で寄生原虫治療薬創出に向けた創薬研究が実施されることとなる。
研究は大きく2段階に分かれており、第1段階では特許や文献などの公開情報に対するデータマイニングが実施され、寄生原虫治療薬探索に関する有用な知識の取り出しが行われる。そして第2段階では、インシリコスクリーニングを用いて、抗寄生原虫活性を有する可能性のある化合物の探索が行われることとなる。TSUBAME2.0では、データマイニングおよび市販化合物を対象としたインシリコスクリーニング計算が行われ、それを元にアステラス製薬が評価化合物の選択ならびにリスト化を行い、短期間かつ効率的な創薬研究に結び付けたいとしている。