米Quantum Sphere(QSI)は6月12日(米国時間)、オフグリッドおよび非常緊急用途のオンデマンド型バックアップ電源となる空気電池システム「MetAir Rangerシリーズ」を発表した。

同シリーズは、初期搭載電池を空気で駆動させるタイプのポータブル電源システムで、容易に交換用電池カートリッジと交換することが可能なプラグ&プレイ構造を採用しており、外部エネルギー源を使用して充電し続ける必要がない。オプションとしては150W/110VのACインバータが用意されており、2つのコンセントならびに1つのUSB充電ポートに機器を接続することが可能だ。

3.2kWh電源システムは重量25ポンド(約11.34kg)未満を実現しつつ、エネルギー密度352Wh/kgを実現しており、1kWhあたりのコストとして200ドル未満を実現している。これは、ディープサイクルバッテリー鉛蓄電池と同程度の大きさながら、重量は約半分、1kgあたりのエネルギー密度は11倍に相当するという。

また、空気亜鉛電池(亜鉛粉を空気中の酸素で酸化させ、電流を発生させることで駆動する電気化学電池)技術を活用することで、危険物質や可燃性燃料も使用せずに利用できるため、大型リチウム電池システムと異なり、米国運輸省からは非危険物質として運搬が認可されているほか、災害発生直後からすぐに使用できる緊急用電源として業界基準の72時間(3日間)を上回る108時間(4.5日間)を実現している。

さらに、空気亜鉛電池の高いエネルギー密度により、初回使用まで最長で10年間の保存寿命があるとしており、災害発生時や緊急事態の発生時のような急に使用する用途が発生したとしても、メンテナンス不要で活用が可能になるとしている。

なお、同社は現在、日本法人を有しておらず、日本における輸入代理店の募集も開始している。

「MetAir Rangerシリーズ」の外観イメージ。交換用電池カートリッジと交換することで、利用時間の延長が可能