『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009年)、『トイ・ストーリー3』(2010年)などのヒット作を世に送り出してきたピクサー。同社は、世界初のフル3DCGアニメーション作品『トイ・ストーリー』(1995年)の公開以来、毎回新たな表現に挑戦し、そのための新技術を独自開発することでも知られている。

例えば『トイ・ストーリー』から3年後に公開された『バグズ・ライフ』(1998年)では、しずくをリアルに表現するための挑戦がなされた。また、『モンスターズ・インク』(2001年)では毛むくじゃらのモンスター・サリーの毛皮を、『カーズ』(2006年)では車体への映り込み、『ウォーリー』(2008年)ではリアルな汚れ具合など、3DCGでは困難とされる表現への挑戦が続けられてきた。

『メリダとおそろしの森』

そしてまもなく、ディズニー/ピクサーの最新作となる『メリダとおそろしの森』が公開される。本作は、おてんばな王女メリダの冒険を描いたファンタジー・アドベンチャーだ。今回、同社が挑んだのは、この王女メリダを象徴する「ボリュームたっぷりのカーリーヘア」の表現。この実現に向けて、同社では本物のアイロンを当てるように様々な大きさのカールが作れる「カールアイロンプログラム」を新開発したのだという。これにより、髪と髪との接点・重力・風の影響など様々なシミュレーションが可能となったが、手作業でひとつひとつカールを作る作業により3年の月日が費やさることとなった。

これについて、本作の製作総指揮を務めたジョン・ラセターは「この映画を観る人は、服や髪のことを考えながら観るわけではありません、私たちの行う作業はどれもストーリーをサポートするためのものです」と、新技術へのチャレンジもすべてストーリーのためだと説明した。

通常の制作期間のおよそ2倍となる6年の年月が費やされたという最新作『メリダとおそろしの森』。本作は7月21日より、全国にて公開される。

これまでに同社が挑んだ表現

公開年 作品名 新しい挑戦
1995 『トイ・ストーリー』 世界初のフル3DCGアニメーション
1998 『バグズ・ライフ』 しずく(水や液体の動きの特性)
1999 『トイ・ストーリー2』 1シーンにおける素粒子の数で新記録
2001 『モンスターズ・インク』 毛(サリーの毛皮)
2003 『ファインディング・ニモ』 海(水中の世界)
2004 『Mr.インクレディブル』 スーパースーツ(様々な環境下での布地)
2006 『カーズ』 車体への映り込み
2007 『レミーのおいしいレストラン』 食べ物のリアルな艶
2008 『ウォーリー』 リアルなゴミ(汚れ)の世界
2009 『カールじいさんの空飛ぶ家』 風船個々のバラバラな動き
2010 『トイ・ストーリー3』 古くなったオモチャのキズや汚れ
2011 『カーズ2』 車体への映り込み(『カーズ』からバージョンアップ)
2012 『メリダとおそろしの森』 ボリュームたっぷりのカーリーヘア

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