パナソニックは5月10日、ポリイミド(PI)フィルムを使用した全層IVH構造の「ALIVH-F」の量産技術を開発したと発表した。

スマートフォンなどの高機能モバイル機器では、より小型・薄型・軽量化し、電池を大容量化したいという要望があり、基板にもさらなる小形化、軽量化が求められている。しかし、従来のガラスクロスを芯材にしたガラスエポキシ基材を用いた「ALIVH」では、その物性により、基材そのものを薄くするには限界があった。そこで、さらに薄型化するため、PIフィルムを用いた製品の開発を進めてきた。

今回の「ALIVH-F」の量産技術の確立には大きく3つのポイントがある。1つは、100μm以下の小径ビアに、確実に充填できる新開発の導電性ペーストを実現する材料物性制御技術。「ALIVH-F」は、従来のガラスエポキシ基材に比べ、薄いフィルムを用いており、ビア形成と導電性ペーストの充填を高精度に行うことは難しいとされていた。今回、導電性ペースト接続に最適なフィルム基材の物性(温度特性やペースト充填性など)を最適化。また、100μm以下の小径ビアに、確実に充填できる導電性ペーストを新たに開発することで、フィルムでありながら安定した層間接続を実現した。

2つ目は、フィルムを高精度に積層するアライメント積層技術。採用したPIフィルムは極めて薄く、従来のガラスエポキシ基材に比べ、取り扱いが難しいため、高積層化が困難だった。そこで、高精度に位置合わせを行うアライメント積層技術により、8層を積層した基板で厚みを0.37mmに抑えると同時に、重量を約35%削減した。ランド径200μmのフィルム基材では、最大12層積層することができるという。

3つ目は、高精度パターン形成などのファイン化技術。全て有機物のフィルム基材を使用することで、ガラスエポキシ基材に比べて、レーザでのビア加工性に優れ、より小径で高精度にビアを形成でき、ランド径もファイン化できた。また、エッチングしやすい表面の粗さの小さい銅箔の採用により、基板のパターン(配線)のファインライン化を実現している。層間ビア径は従来より約25%減となる直径100μm。配線パターン幅とピッチは約40%減の30μm L/Sを実現した。

同製品は6月よりサンプル出荷を開始し、12月に量産を開始する予定。

ポリイミド(PI)フィルムを使用した全層IVH構造の「ALIVH-F」