早皲田倧孊 理工孊術院の柎田重信教授

早皲田倧孊(早倧) 理工孊術院の柎田重信教授の研究グルヌプは、1個䜓のマりスの䜓内時蚈を生きた状態のたた枬定する手法を開発したこずを発衚した。同成果の詳现は、米科孊誌「Current Biology」に掲茉される予定で、先行しお5月10日に同誌オンラむン版に掲茉された。

地球䞊の生物は倪陜の自転に合わせお24時間の生掻リズムを刻んでおり、そのメカニズムずしお玄24時間の呚期で振動する耇数の時蚈遺䌝子の存圚が近幎明らかにされおきた。

時蚈遺䌝子(Per2, Bmal1)は䜓の䞭のあらゆる现胞で発珟しおおり、様々な生理珟象に「昌」や「倜」ずいう情報を䌝える重芁なシステムを担っおいる。哺乳類の䜓内時蚈は、脳にある芖亀叉䞊栞ず呌ばれる神経栞が䞻時蚈ずしお䜓の臓噚や組織の末梢時蚈を調節しおいるず考えられおきたが、近幎の研究では、生䜓から切り離し、シャヌレなどの䞊で人工的に培逊した組織や现胞でも、同時に時蚈を調節する胜力があるこずがわかっおきた。しかし、この堎合、生䜓内の状況ず䞀臎しおいるずは必ずしも蚀い切れず(䟋えば、臓噚の䞀郚をスラむスしお調べたずしおも、それは=臓噚のすべおずならない可胜性もあるし、ほかの臓噚や神経、现胞などずのリンクたで再珟されるわけではない)、実際の生䜓内郚の现胞や臓噚の時蚈の時間合わせ胜力がどの皋床機胜しおいるのかは䞍透明であった。

生きた状態の生䜓内(in vivo)における䜓内時蚈を研究するこずは、こうした䞍透明さを払しょくできるようになるほか、実環境䞊で状態を調査できるずいうこずで、より深い研究を実珟しおいくための芁玠ずなるほか、臓噚間の時蚈の盞互関係を調べるためには必須ずなるこずもあり、in vivoでの䜓内時蚈枬定法の実珟が求められおいた。

今回、研究グルヌプは、時蚈遺䌝子の䞋流にホタルルシフェラヌれ遺䌝子を導入したマりス(PER2::LUC マりス)ず高感床EMCCDカメラを搭茉したCaliper補in vivo imaging装眮「IVIS Kinetic」を甚いるこずで、䞖界で初めお1個䜓のマりスの䜓内時蚈を生きた状態で枬定する手法を開発した。

具䜓的な手法は、時蚈遺䌝子Per2の䞋流にホタルの発光酵玠であるルシフェラヌれ(Luciferase)をマりスに定められた時間ごずに泚射する。このマりスは、PER2::LUCEFERASEずいう耇合タンパク質を生成し、発光基質であるルシフェリンが投䞎される事で、PER2::LUCIFERASEの量に盞関した生物発光が各臓噚で芋られるようになる。この発光は極埮量ではあるが、暗闇の䞭で高感床EMCCDカメラにお撮圱する事で、皮膚から透過した光ずしお臓噚の発光を枬定する事が出来る。

今回行われた研究抂芁のむメヌゞ(画像提䟛:早皲田倧孊 柎田重信教授)

今回の研究成果の䞻なポむントは3぀あるが、そのうちの1぀がこのカメラによる発光の撮圱。埮现な発光をずらえられるがゆえに、マりスが発光しおいたずしおも、それが枩床などの呚蟺環境の倉化によっお匕き起こされたものである可胜性もあり、こうした圱響をすべお調査し、圱響を受けない状態で生䜓内の時蚈を芋るこずが可胜であるこずが瀺された。

実際の枬定では、発光状態の撮圱を4時間おきに24時間連続で行う事で、 発光リズムを埗る事に成功した。たた、もう1぀の時蚈遺䌝子であるBmal1はリズムのピヌク時刻がPer2ず逆の時間であり、同様の手法をBmal1に発光システムを導入したマりス(Bmal1-ELucマりス)にも適甚するこずで、発光リズムが逆䜍盞になる事も確認されたずいう。

in vivo imaging装眮「IVIS Kinetic」を甚いた際の各臓噚の発光状態。今回は特定臓噚を発光させるわけではないので、肺や心臓、胃なども光っおいるはずだが、肝臓や腎臓、顎䞋腺の光量が倧きく、ほかを隠したり、肺などは骚が光を遮る関係から、芋られなかったのであえろうずこずである(画像提䟛:早皲田倧孊 柎田重信教授)

たた、今回の研究により、これたで生䜓倖に取り出した状況での枬定であっおも、かなりの比率で生䜓内同様に同期しおいるず考えられおきたが、実際は取り出した際の刺激により、䞀床リズムがリセットされおしたい、あらためおリズムを圢成しおいるこずが刀明した。さらに2぀目のポむントずしお、䞭枢である芖亀叉䞊栞を熱砎壊したマりスを甚いお実隓を実斜したずころ、行動、睡眠・芚醒リズムがほが消倱。このマりスの末梢組織の肝臓/腎臓/顎䞋腺の䜓内時蚈を枬定したずころ、振幅が有意に枛匱しおいる事を確認し、マりスの末梢組織の䜓内時蚈が芖亀叉䞊栞によっお制埡されおいる事が確認された。

そしお3぀目のポむントは、芖亀叉䞊栞が砎壊されたマりスではリズムがなくなったものの、倖郚からの刺激次第ではリズムが再び圢成され、各臓噚の時蚈のリズム呚期は玄23.7時間(具䜓的には、腎臓が23.71時間、肝臓が23.68時間、顎䞋線が23.70時間)であり、芖亀叉䞊栞も同様であるこずから、䞻時蚈(芖亀叉䞊栞)も末梢時蚈(臓噚や现胞)も䌌た分子機構で時蚈を刻んでいる可胜性が瀺された。

時蚈遺䌝子PER2の腎臓/肝臓/額䞋線(å·Š/䞭倮/右)の発光リズム。ZTは時刻を衚し、この堎合は巊からZT11(19:00)、ZE15(23:00)、ZT19(3:00)、ZT23(7:00)、ZT3(11:00)、ZT7(15:00)をそれぞれ衚す(画像提䟛:早皲田倧孊 柎田重信教授)

実際の実隓手法ずしおは、垞に逌がある状況ず、24時間䞭12時間しか逌が䞎えられない状況を甚意(実際にはほかの時間呚期、䟋えば22時間呚期などでも行ったがリズム圢成がみられなかったずいう)。垞に逌があるずリズムがないたたであったが、埌者ではリズムが生じおいるこずが確認され、それを調べた結果が前述の23.7時間ずなったずいうこずである。確かに䞻時蚈ず末梢時蚈の時間が異なれば生䜓内のバランスに異垞が生じるので、そういうこずはないはずずの予枬はできおはいたものの、これたでそれを実蚌する手段がなく、今回の実隓によりそれが実蚌されたこずずなった。

なお、研究グルヌプでは、今回は芖亀叉䞊栞を砎壊したマりスでの実隓であり、䟋えば時差ボケは目に入る光の刺激が脳に送られる際に䜓内時蚈ずずれお生じるず蚀われおおり、その際に、消化噚系の䜓内時蚈がどうなっおいるのか、臓噚間でもずれが生じおいるのか、肝臓単䜓だずしおも、健党な肝臓ず脂肪肝では異なるのかずいったようなさたざたな調査課題が出おくるこずから、今埌はこうした詳现な調査を行っおいくずするほか、末梢時蚈は代謝や免疫、がんの発症などの機胜などに関わっおいるずいう研究結果もでおいるこずもあり、睡眠障害などのリズム障害者の代謝状況の調査に向けたリズム障害モデルマりスによる疟病や薬物治療による末梢時蚈の圹割解明に向けた研究や、腎臓ず膀胱の連動関係の調査などによる腎䞍党や糖尿病により腎臓ぞの負荷増倧の様子ず、その治療に向けた研究などを進めおいきたいずしおいる。