ソフトバンクテレコムは3月22日、データセンター内のサーバー室に局所空調システムを採用することで、空調電力使用量の従来比60%削減を実現したと発表した。これにより既存のデータセンターでは改善が難しいとされてきたPUE(Power Usage Effectiveness)を大きく改善でき、1.3以下が達成できる見込みであるとしている。

システムはサーバラック上部に天吊りで設置。従来の床置空調機のスペースが不要になり、スペース効率が向上する

同社の局所空調システムは、データセンター内にあるサーバ室にサーバからの排熱を閉じ込め、この排熱部分だけを冷やす仕組みをとるもの。これにより冷却効果を高めるとともに高い熱交換率を実現する。同社によると、データセンターでの全面導入は国内初となる。

データセンターのエネルギー効率を示す指標のひとつにPUEがあり、国内の一般的なデータセンターでは2.0以下と言われている。同社では本システムにより、PUE値1.3以下に改善できる見通しがついたとしている。

また、設備の冷却方式としてコンプレッサー等の動力源なしに冷媒を自然循環させる「冷媒自然循環方式」を採用するほか、フリークーリング(冬期・夜間の自然エネルギー外気による冷水製造)を導入。省エネルギー化を進めることで電力不足に対応した高効率データセンターを目指す。

冷媒自然循環方式システムの構成イメージ。排熱を封じ込める冷熱分離構成をとることで冷却効果を高めている

従来型の全体空調方式のイメージ。室内全体に送風するために大きな送風動力が必要で熱交換率も低い