英・メトロポリタン大学のアーティスト・イン・レジデンスであるダニエル・ヒルドラップ氏は、イスラエルの3Dプリンタメーカー「Objet(以下、オブジェット)」製の3Dプリンタ「Objet Connex」を使って製作した新作品群『Fragments in Time』を発表した。作品は同氏のWebサイトにて閲覧できる。

ダニエル・ヒルドラップ氏の新作。「Flux」(左)と「Aquiform in Rest」(右)。いずれもオブジェットの3Dプリンタによって造形された(「Flux」の蝋燭部分は3Dプリントではない)

発表された新作「Flux」は、黒い蝋燭のロウが液体でできた燭台に溶け込んでいく様を捉えた作品。溶けたロウは、オブジェットの黒いゴム状素材「Objet TangoBlackPlus」と透明の剛体素材「Objet VeroClear」という2つの素材により表現したという。もう一方の新作、「Aquiform in Rest」は、彫刻のように形作られた自立式の洗面シンクで、オブジェットの透明素材でプリントした後、2パックのポリウレタン塗料で仕上げた。

今回の製作に使用された「Objet Connex」は、複数のモデル材料を同時に噴射することが可能な3Dプリンター。機械特性を持った「Digital Materials」と呼ばれる複合素材の造形に対応しており、複数パーツで構成された機械製品のシュミレーションも単一の工程で実現可能となっている。

ヒルドラップ氏は「Flux」の燭台のプリントについて「マルチ素材を扱うことができなければ不可能であり、従来の手法であるガラスブロックの鋳込みを使って製作していたとしたら、それは非常に困難であった」と語っており、今回発表された作品の表現は、同社3Dプリンターの特性によって実現したものだとしている。