NECは3月6日、シリコン光集積回路技術を利用して、高いオンオフ比(消光比)と環境温度に依存しない特性を有する光スイッチを開発したことを発表した。同成果は、3月4日から8日まで、米国・ロサンゼルスにて開催される国際会議において、シンガポールのIME(Institute of Microelectronics)との共同研究として3月6日(現地時間)に発表された。

今回開発した光スイッチは、LSI製造向け標準CMOSプロセスを活用して形成したシリコン光導波路をベースに、ヒータによる局所加熱で光路を制御する微小な素子152個を集積化し、入射8ポート/出射8ポートの間の光経路を自由に設定する機能を16mm×12mmのチップ上で実現したもの。

高密度に多数の素子が集積できるシリコン光集積回路技術を活かし、経路切り替えを行うセレクタ素子と通過/遮断を行うゲート素子を組み合わせ、高いオンオフ比と、設置される環境温度に依存しない性質を実現。具体的には、光が通過している(オン)経路と光が遮断されている(オフ)経路の透過率の比を大きくとるため、光路の遮断にゲート素子2つを使う素子配置を採用しており、これにより、装置適用時に要求されるオンオフ比(消光比)は40dB以上を実現したという。また、光を通過させる際のみヒータによる加熱を行い、光を遮断する際にはヒータによる加熱を行わない素子配置を採用しており、これにより、環境温度の影響を受けにくい光通過・遮断特性を実現し、温度調節器を追加せずに、装置適用時に要求される75度の温度範囲での安定なスイッチ動作(温度無依存化)を実現したという。

これらの技術と、すでに開発済みであった偏光無依存および光結合部分における低損失の特性を組み合わせることで、次世代光ネットワーク装置に要求される性能を実現した光スイッチの開発に成功したという。

なお、同社では、すでに光回路と光ファイバを接続する光結合構造の搭載にめどをつけており、今後、開発した光スイッチのモジュール化を進め、2013年度末をめどに光ネットワーク装置への適用を目指すとしている。また開発した技術を様々な光ネットワーク機器やIT機器へ適用し、省電力かつ高性能な装置の実現を進めて行くとしている。