京都府立大学とベンチャーバンクは3月1日、ダチョウ卵黄より抗体を製造する技術を応用し、スギ花粉およびヒノキ花粉に対する抗体「抗体+スギ、ヒノキ」を製造、商品化し2012年3月より販売を開始することを発表した。
抗体+シリーズは、京都府立大学の塚本康浩教授が開発したダチョウ卵黄による抗体の大量生産方法を利用した精製抗体商品で、抗体を加湿器で空間に散布し、または、スプレーで洋服やカーペットなどに噴霧することで、外敵(抗原)の働きを不活性化させることが出来る商品。
両者は共同研究により、花粉に反応するダチョウの卵黄から花粉に対する抗体が取れることを発見、同技術を応用してスギ花粉(Cryj1、Cryj2)とヒノキ花粉(Cho1、Cho2)に反応する抗体の大量製造に成功した。
実際にこの卵黄からの抗体を、スギ花粉をしみ込ませたろ紙に添加し、花粉症の人の皮膚に塗布したところ、スギ花粉をしみ込ませたろ紙を塗布した人は1時間後に皮膚が赤く腫れたが、花粉に反応するダチョウからの抗体をろ紙に添加していた場合、皮膚が赤くならず、ダチョウの花粉抗体が花粉に結合(抗原抗体反応)し、人の皮膚での反応を抑えることが確認されたという。
花粉症の原因は、スギ花粉の場合はCryj1/Cryj2、ヒノキ花粉の場合はCho1,/Cho2 である場合がほとんどであり、このダチョウ卵黄由来抗体を用いることで広く花粉への反応を抑えることが可能となるという。
なお、すでにクリニックや動物病院、コールセンターなどいくつかの施設で、主に加湿器を利用して同商品は実際に使用が開始されているという。