ゼットエムピー(ZMP)は2月8日、同社のカーロボティクス・プラットフォーム「RoboCar 1/10」とマスワークス製の数値計算ソフト「MATLAB/Simulink」をリンクさせるアプリケーションの最新版「RoboCar 1/10 MATLABコネクション2」の販売を開始した。

RoboCar 1/10(画像1)は、充実した環境認識機能を持つ実車の1/10サイズの自動車研究開発用プラットフォームであり、自動運転や予防安全技術といった運転支援技術の研究開発や、自律移動を題材とした研究・教育などで利用されている。

画像1。RoboCar 1/10。屋内で自動運転や予防安全技術、自律移動などの研究開発などを用途とした小型のカーロボティクス・プラットフォーム

「MATLABコネクション2」を用いることにより、経路設計(計画)とRoboCarのシミュレーション、および実機による検証をスムーズに行うことが可能となり、研究開発期間の短縮が可能となるという形だ。

「MATLABコネクション2」では、RoboCar1/10をMATLAB/Simulinkプログラムにより現在位置から任意の位置と向きまでの経路を設計することができる(画像2)。例えば、自動駐車や車線変更や障害物回避といった自動走行の研究開発の場合、目標の位置と向きに従って最適(ハンドル操作がスムーズかつ横Gの少ない)な経路を算出し、車両二輪モデルを用いてMATLAB/Simulinkにより操舵角の推定を行う。

画像2。経路設計のイメージ

この操舵角に基づきMATLAB/Simulink上でのシミュレーション(画像3)を行うことができ、計画した経路とシミュレーション結果との比較(画像4)や、その差異に基づく経路制御が可能となる。同じMATLAB/SimulinkプログラムによりRoboCar1/10の実機の動作が可能なため、シミュレーションおよび実環境でのセンサデータを用いた実験を効率的に行えるというわけだ。

画像3。RoboCar 1/10とそのシミュレーションの流れ

画像4。設計した経路とシミュレーション結果、そしてRoboCar 1/10の軌跡の比較

アプリケーションとしては、前述した経路設計やRoboCarのシミュレーションのほかにも、RoboCarのコントローラ、レーザーレンジファインダ、奇跡追従デモなどがある。コントローラはRoboCar 1/10をリアルタイム操作でき、総舵角と速度の制御および赤外線測距センサによる小ギア異物回避動作が可能。さらに、赤外線センサやジャイロセンサ、加速度センサの計算値もリアルタイム表を行える。

レーザーレンジセンサは、RoboCar 1/10に搭載されたレーザーレンジセンサ(オプション)の値を100msで更新・表示。水平面上での表示に加え、障害物までの距離をグラフ化して表示。そして奇跡追従デモは、RoboCar 1/10を遠隔操作した際の奇跡を記録し、自動走行を行うことが可能だ。

動作環境は、OSがWindows XPおよびWindows 7で、MATLAB/Simulink(32bit)の動作確認済みバージョンは2006、2007、2010、2011の4バージョンとなっている。

価格は一般が4万2000円、アカデミック版が31500円。RoboCar 1/10とそのSDK2011バージョンにMATLABコネクション2をセットにした場合は、一般が88万2000円で、アカデミックが69万900円。