理化学研究所(理研)と埼玉大学は1月24日、黒金化成、FLOX、VCADソリューソンズらと共同で、「新世代塗布型電子デバイス技術研究組合」を設立することを発表した。理研や埼玉大学が保有する有機エレクトロニクスに関する研究成果の早期実用化を目指して、理研和光研究所内に技術研究組合を設立する。

同組合では、ナノサイズの構造体が形成可能で、しかも低コストで製造できる静電塗布法を利用して、薄膜形成技術の研究開発を行う。また、資源循環型材料として期待される有機半導体を利用して、薄膜太陽電池に向けた新規有機材料の製造方法開発にも取り組み、これらの技術により、製造エネルギーの低減を図り、水性有機半導体コロイドなどを用いた環境負荷の小さい有機薄膜太陽電池など、新世代塗布型電子デバイスの開発を推進していく計画。

組合内での主な役割は、理研が材料、塗布技術、デバイス評価、シミュレーションなどの科学技術を駆使した塗布型電子デバイスの早期実現に取り組み、埼玉大は、これまで行ってきた各種有機デバイスや静電塗布法に関する研究成果を活用して、高効率な有機薄膜太陽電池の実現に重要な有機材料開発や成膜装置開発を担当する。そして黒金化成は、有機合成技術を活かして材料を提供する。FLOXは、有機n型半導体としてフラーレン誘導体の研究・開発を進める。VCADソリューソンズは、VCADによる微細な視点でのシミュレーションを通じ、製造に役立つ情報を提供する。

なお、同組合の理事長には理研社会知創成事業有機光電子工学研究チーム チームリーダーの田島右副氏が就任する。同組合では、2013年中に有機薄膜太陽電池のプロトタイプを完成させ、2015年の実用化を目指すとしている。