年頭のご挨拶

謹んで初春のお喜びを申し上げます。旧年中はひとかたならぬご高配を賜わり厚く御礼を申し上げます。 また、昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

昨年は未曾有の震災、原発事故、電力不足、台風、タイの洪水、円高など日本経済・IT業界にとっては試練の年でした。しかしながら我々としてはオープンソースの真の力と価値を実感できた1年でもありました。災害からの復興、復活、再成長に向けて、クラウドやデータセンターの利用が拡大し、それらを担う大手サービスプロバイダーでのOSS活用が加速しました。また、世界市場でも新規出荷サーバーの基本OSで、Linuxシェアが35%以上になりました。まさにOSSは今や世界中でクラウド時代のIT業界を支える中心的な存在となり、例えると、主食となる米(コメ)の役割を担い始めたと言えるでしょう。

このような状況下、レッドハットは昨年、「Beyond Linux(Linuxを超えた貢献)」というミッションの下に活動を行い、お陰様で厳しい市場環境の中でも2桁成長を遂げることができました。主力製品Red Hat Enterprise Linuxは、大和ネクスト銀行様の勘定系システムに採用された事例にも代表されるように、日本中の通信、金融、製造、流通、運輸、公共などのミッションクリティカルなシステムで採用が進んでいます。Linuxだけでなく、JBoss/SOAミドルウェアや仮想化機能KVMの市場浸透も加速しました。JBoss/SOAミドルウェアは、継続して前年同期比2倍近い伸びを示し、シェアを大きく拡大しています。

KVMは仮想化ベンチマークで世界新記録の性能を達成し続けるなど大きな進化を遂げており、現在ではNTTコミュニケーションズ様の「Bizホスティングベーシック」やソフトバンクテレコム様の「ホワイトクラウド」のようなパブリッククラウドソリューションはもとより、ダイエー様などエンドユーザーのシステムにも多く採用されるようになりました。このようなKVMの進化とその高い性能は今や世界中の多くの企業から評価されており、昨年5月に設立されたKVMによるサーバ仮想化ソリューションの促進に取り組む団体「Open Virtualization Alliance (OVA)」にはIBM、HP、Dell、NEC、日立製作所、富士通、弊社を含む200以上の企業が参加しています。

さらに、レッドハットはクラウドの分野にも本格的に進出しました。昨年5月には多種のプライベートクラウドとパブリッククラウドを統合するIaaSソリューション「CloudForms」やクラウド上でアプリケーション開発環境を提供するPaaS「OpenShift」を発表し、10月には増大する非構造型ビッグデータに低コストで対応するスケールアウト型ストレージをOSSで提供するGluster社を買収しました。今年はそれらを本格的に市場投入することで、クラウド環境下においてもOSSの価値をさらに拡大しお客様に提供していきます。

OSSは今や「コスト削減」だけでなく、「ビジネスの敏捷性」の向上、そして「イノベーション」といった今日の企業ITに求められる要件を満たすために必須なソリューションになりつつあり、常にお客様にベンダーロックインされないチョイスを提供致します。私はこれまでも多くのCIOや経営者の方々と対話を重ねてきましたが、昨今、OSSを活用した「ITの標準化」やベストチョイスを駆使した「ユーザー主導のIT」を目指している企業が非常に多くなったと感じています。そして、2012年は、まさにこの「ユーザー主導」によるクラウドサービス構築や仮想化が本格的に展開されると思っております。レッドハット株式会社は、現在80社 数百名まで拡大したユーザー会「Red Hat Enterprise User Group (REUG)」をさらに活性化させ、パートナー企業様との協業も強化し、「クラウド時代をリードするOSSトップ企業」としてお客様のニーズに迅速にお応えできるサービスの提供に努めていきたいと思っております。

本年もぜひ、レッドハットへのご支援ご高配を賜わりますようお願い申し上げます。