仏アルデバラン・ロボティクス(Aldebaran Robotics)は12月9日、「NAO」の後継機となる自律型の最新ヒューマノイドロボット「NAO Next Gen」(ナオ・ネクスト・ジェン)を発表した(画像1)。用途は、NAOと同様に、研究、教育、そしてより広く一般にサービスロボットという新しい世界の開拓としている。

画像1。NAO Next Gen。デザインはNAOから変わらない模様。内部メカやソフトウェアが2011年の技術にアップデートされたというわけだ。カラーリングは、基本がオレンジ色で、指定すると水色を選べる

NAOは発売から3年で全世界において2000台を販売しており、市販ヒューマノイドロボットとしては破格の記録を持つ。その後継機として登場するNAO Next Genは、6年間にわたる研究および研究者・利用者のコミュニティとの意見交換の成果として、演算能力、安定性、精度の面で強化が図られた。それにより、充実した会話能力を提供し、研究、教育、適用業務の範囲を一層拡大するとしている。自閉症の子どもや要介護者の介助に役立てることも可能という。

具体的な新機能としては、マルチタスク計算に適合した1.6GHz動作のIntel Atomプロセッサを採用したこと、2つのビデオストリームの同時受信のほか、暗い場所でも顔や物体認識のスピードと性能の大幅アップを可能にするFPGAに接続された2台のHDビデオカメラの搭載といった点だ。

さらにソフトウェア面では、フレーズや発話の中からある特定のキーワードを抜き出して認識することが可能なまったく新しいワードスポッティング機能に連動する、高速、高精度の新しい音声認識プログラム「Nuance」が実装された点がポイント。そのほか、モータのトルクのインテリジェント制御、四肢のボディとの衝突防止システム、歩行動作改善アルゴリズムなどのソフトウェア機能も提供していく。

そのほか、NAOとNAO Next Genをプラットフォームとして活用し、同社では中等教育を初めとする教育向けアプリケーションについて、教育コンテンツの充実に注力するととともに、福祉分野でも専門アプリケーションの開発に取り組んでいくとしている。

また、個人向けの開発もプログラマ・コミュニティ「デベロッパー・プログラム」を通して推進しており、NAOシリーズの個人用ロボットの開発にも引き続き取り組んでいくとしている。

なお、日本での販売は、代理店のリバストやアールティが先代NAOから引き続き扱うものと思われるが、価格は初代NAOから据え置きなのか、新価格になるのか、まだ発表されていない。スペックは以下の通りだ(アールティの協力を得て作成)。

スペック

サイズ:身長57cm
関節自由度:25(頭×2・腕×5×2・腰×1・脚×5×2・手×1×2)
センサ:HDビデオカメラ×2、マイクロフォン×4、超音波センサ×1、赤外線送受信機×2、触覚センサ×9、圧力センサ×8、イナーシャルボード(3軸加速度センサ×1、ジャイロ×2)×1
出力:LEDライト×1、スピーカー×1、ボイスシンセサイザー×1
CPU:Intel Atom 1.6GHz
OS:Linux

画像2。先代のNAOは、革新的なプラットフォーム戦略によって、研究・開発用のヒューマノイドロボットとしては記録的な2000台を販売。大幅に性能をアップしたNAO Next Genで、さらなる販売台数の記録更新を狙う

画像3。NAOには学生向けのアカデミック版が用意されていたが、NAO NEXT GENもサーボの数を減らすなどして価格を下げたアカデミック版が用意されている