アルバックは12月1日、同社の300mmウェハ対応CVD装置「ENTRON-EX W300シリーズ」に3次元構造デバイス向けCVD-Ni/CVD-Coプロセス処理が可能な「ENTRON-EX2 W300 CVD-Ni/CVD-Co」を開発したことを発表した。
22nmプロセス以降の微細プロセスにおいて、デバイスメーカー各社はFin-FETのような3次元構造セルの採用を進めることがほぼ規定路線となっている。そうなってくると、従来のPVD成膜ではステップカバレッジが足りないという課題があり、CVDを採用することで3次元構造セルのシリサイド化への対応が図られた。
量産性を重視して開発されたとのことで、プロセス性能はもとより、生産性の向上や低CoC、ハイスループットが可能となったという。プロセス性能の向上としては、シリサイドプロセスでは前処理(界面)が重要となるため、ダメージフリーのドライ前処理として、以下の2種類の前処理を可能としたという。
- In-situ処理:CDT(枚葉式ケミカルドライトリートメント)+CVD-Ni/CDV-Co
- Ex-situ処理:RISE(バッチ式ケミカルドライ前処理)+CVD-Ni/CVD-Co
また、シリサイド化のためにはアニールが必要であることから、アニールモジュールも搭載することを可能としており、一貫したシリサイデーションプロセスを可能とした。
こうした機能向上により、パーティクルは0.090μmUPで20pcs未満、スループットは20wf/hr・cn(目標膜厚により変化する)を実現できるほか、2-5nm程度の厚さまで成膜が可能であり、将来の薄膜化にも対応が可能だという。
また、想定アプリケーションとしてはシリサイドに留まらず、Ni/Co膜を応用したMEMSやCu配線のデュアルダマシンのバリア膜の上層に積層する密着性向上のためのCoライナ層の形成などのアプリケーションにも適用可能であり、3DメモリやDRAMのキャパシタ電極形成、システムシステムLSIなどのCu配線やキャッピングレイヤ向けなどに販売を行っていく計画。
ENTRON-EX2 W300プラットフォームはシングルタイプとタンデムタイプが用意されており、タンデムタイプではバックエンドプロセスのインテグレーションも可能となっており、販売は2012年4月からを予定。価格は3~6億円をめどとしており、2013年以降の量産機納入を目指し、さらなる性能の向上を図っていくことで、2013年に数台の販売を目指すとしている。