Applied Materials(AMAT)は、半導体配線工程(BEOL)向け薄膜処理装置「Applied Producer Onyx」を発表した。半導体の配線の絶縁に用いるlow-k膜の分子構造を最適化し、22nm世代以降におけるロジックデバイスの高速化および低消費電力化を支援することができるという。
半導体のプロセスノードの進化に伴い配線間隔が狭くなるため、隣接する導線間に寄生容量あるいはクロストークが発生しやすくなり、無駄な電力消費やスイッチ速度の低下をもたらすようになる。そこで、配線構造を分離・サポートする絶縁材料の比誘電率(k値)を引き下げ、寄生容量を低下させることが、デバイス性能とバッテリー駆動時間の継続的改善に向けた重要な対策の1つとなっている。一方で絶縁材料の低誘電率化(low-k化)は、機械的強度の低下が問題となっている。
同装置は、多孔質の絶縁膜にカーボンとシリコンを導入し、原子レベルで絶縁材料を強化する。同処理によりk値は最大20%低減し、半導体の電力消費を引き下げることが可能となる。さらに同処理によって絶縁材料の硬度も高まるため、後工程で実施される数百の実装ステップにも耐えることが可能で、3Dパッケージで求められる堅牢なチップを実現できるという。
なお、同装置はすでに一部の先端ロジックデバイスのパイロット生産に採用されているという。