アットマークテクノは11月10日、ルネサス エレクトロニクスの携帯機器向けアプリケーションプロセッサ「R-Mobile A1」を搭載した組み込みシステム向け評価ボード「Armadillo-800 EVA」を発表した。

R-Mobile A1はCortex-A9とSH-4Aを各1コアずつ搭載しているほか、Imagination Technologies(IMG)のPowerVRをタ負うしすることで、フルHDの画像処理を携帯機器レベルで実現することが可能なプロセッサ。

同評価ボードには、フルHDの入出力が可能なHDMI端子のほか、3.1Mピクセルのカメラモジュール、無線LAN、静電容量方式に対応した5型LCD(WVGA)などを搭載しており、さまざまな用途の組み込み機器の開発に対応することができる。

R-Mobile A1を搭載した評価ボード「Armadillo-800 EVA」

標準OSはLinuxで、デバイスドライバを含めてオープンソフトウェアとして無償提供され、Androidの対応なども将来的に予定されている。

価格は9万9750円で12月より出荷を予定しているほか、さまざまな機能に特化した量産対応Armadillo-800シリーズの開発も進めており、こちらは各製品ともに4万円程度をめどに2012年夏以降に提供を開始する予定としている。

Armadillo-800シリーズのロードマップ

また同社は、同ボードを共同で設計したキョウデンと、R-Mobile A1搭載プリント基板に関する設計・製造サービスを提供していくことも併せて発表している。

これは、R-Mobile A1がマルチメディア機能を最大限に活用するために、DDR3メモリやHDMI規格などに対応した製品で、プリント基板の設計や製造では、信号のタイミングのズレや信号波形の歪みによるエラーなどの問題がDDR2メモリやSD画像などを扱うのに比べ、等長配線やインピーダンスマッチングなどを考慮する必要性が高いほか、信号品質の解析(SI解析)を行うことなどが重要となっていることに加え、電源品質の解析(PI解析)などを行うことも必要となっており、ビルドアップ基板などの使用が推奨されているためで、そうした技術ノウハウなどが不足しているメーカーでもR-Mobile A1を用いた製品製造を可能にするためのサービスとなっている。

これにより、ユーザーはアットマークテクノから購入した「Armadillo-800 EVA」の回路図などの情報から回路設計を行い、キョウデンに信号解析を含めたビルドアップ工法のプリント基板の設計・製造を委託することが容易となる。このため、ユーザーはArmadillo-800 EVAをもとに製品の開発を容易化することが可能となり、R-Mobile A1の性能を引き出す機器の開発がより容易になると同社では説明している。

キョウデンとアットマークテクノのR-Mobile A1向けサービスの提供イメージ

さらに、アットマークテクノはエイチアイと「Armadillo-440」向けにGUIの開発・提供を行うサービスに関して協力していくことでも合意したことを発表している。ユーザーは、同サービスを利用することで、アニメーション機能などを駆使した携帯電話の画面のようなGUIをArmadillo-440上で実現することができるようになり、GUI以外の開発にリソースを集中させることが可能となる。 なお、すでにエイチアイが作成したArmadillo-440上で動作するGUIデモコンテンツ3種類(「視力検査」「心電図」「オーディオプレイヤー」)が、アットマークテクノのArmadilloサイトにて配信されており、これをArmadillo-440にダウンロードして、実機で確認することも可能となっている。

配信デモイメージ(左から心電図、イコライザ)