Analog Devices(ADI)は、スイスにあるCERN(欧州原子核研究機構)とイタリアのベネベントにあるサンニオ大学(University of Sannio)が、共同で進めているCERNの大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron Collider:LHC)用超電導磁石の磁場測定のための測定装置に、同社のA/Dコンバータ(ADC)「AD7634」、アナログ・マルチプレクサ「ADG406」、およびDSP「ADSP-21262」が採用さたことを発表した。

同測定装置は、高速デジタル・インテグレータ(FDI)ボードと呼ばれ、前世代のデジタル・インテグレータ比で100倍の分解能と周波数帯域幅を実現する。ダイナミックレンジの大幅な改善により、科学者たちは、高磁場の超電導加速器用磁石に典型的な磁場変動、磁場崩壊、その他の時間依存現象の一因となる、ごく些細なアーチファクトなども検出できるようになるという。ちなみに、これらの現象はすべて、研究している粒子線の品質に悪い影響をおよぼす。

3製品は、AD7634が最高サンプリング・レート670kS/sで、101dBの信号/ノイズ&歪み(SINAD)性能を提供する18ビットA/Dコンバータ、ADG406が高スイッチング速度、低消費電力、および低オン抵抗の組合せを特長とするマルチプレクサ、SHARC DSPのADSP-21262が高性能信号処理アプリケーション向けに最適化された2つのプロセッサユニットと2Mビット・デュアル・ポート・オンチップRAM、I/Oボトルネックを解消する多数の内部バスなどを備えた32ビット/40ビット浮動小数点プロセッサとなっている。

なお、同FDIボードは、すでにCERNにおいて、LHCの加速器用磁石が生成する8Tの磁場を評価するためのキャリブレーションされた高速回転コイルを通して、毎秒10回の周期で磁束を測定するのに用いられている。

LHC内部での作業風景(画像提供:Analog Devices)