計測機器ベンダ大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは、「Agilent 7200 Q-TOF (四重極飛行時間型) ガスクロマトグラフ質量分析 (GC/MS) システム」を発表した。

アジレントの「Agilent 7200 Q-TOF ガスクロマトグラフ質量分析システム」

同装置は、同社のガスクロマトグラフ「Agilent 7890A GC」の性能と、Q-TOFアナライザのスペクトル分解能を兼ね備えたもので、合わせて同社が提供してきた信頼性の高い分析結果を得るための機能なども搭載されている。

機器の設定から最終レポートに至るまでTOFおよびQ-TOF分析を円滑化できる設計となっているデコンボリューション・ソフトウェア「Agilent MassHunter」を用いることで、TOFモードにおける化合物の分析を円滑化することが可能となる。特に分析が難しいサンプルでは、Q-TOFモードの高分解能プロダクトイオンスペクトルを用いて、マトリックス干渉を除去し、明確なフラグメント・パターンを得ることができるため、微量レベルでも未知化合物の構造解明が可能になるという。

また、新たに設計した着脱可能なイオン源により、Q-TOFマニフォールドの真空状態を保ったまま、最適化されたEIイオン源とPCI/NCIイオン源を容易に切り替えることが可能になった。そのため、イオン源の交換時間を短縮できるほか、イオン源交換の各ステップは、MSシステムにより監視されるので、エラーの心配も不要となった。

さらに、石英一体型四重極アナライザとコリジョンセルは、従来より多く用いられてきた「Agilent 7000B トリプル四重極GC/MS」と同等のものを使用。これにより、アナライザを200 ℃まで加熱し、低温で動作する金属四重極で生じがちな汚染を排除することができ安定した分析が可能となるという。

加えて、同社独自のINVARフライトチューブは、真空断熱シェル内に密封されており、周囲温度の変化を受けないため、安定した質量精度を維持することができ、チューブの長さとデュアルステージイオンミラーにより、質量範囲全体で高い分解能を実現することが可能だ。

最高32Gbpsのサンプリング速度を実現しており、これにより、イオン強度の低いサンプルでも分解能、質量精度、感度を向上させることが可能なほか、低ゲインチャンネルと高ゲインチャンネルの両方で検出器シグナルを同時に処理するデュアルゲインアンプにより、ダイナミックレンジを105にまで拡大している。さらに、複数のイオン到達時間を記録するA/Dコンバータ(ADC)は、従来型の単一の到達時間を変換する検出器(TDC)とは異なり、正確な質量分析を広い質量範囲とダイナミックレンジの濃度範囲にわたって可能にしているという。

なお、同社では同装置をメタボロミクス、食品安全性、天然物質研究、環境分析、スポーツのドーピング検査、エネルギー研究といったさまざまなアプリケーションにおけるターゲット化合物や未知化合物の分析などに向けて提供していく予定としている。