宮崎大学と東ソー・ファインケムの研究チームは、酸化亜鉛(ZnO)をスピンコート法で製膜する技術を開発することに成功したことを明らかにした。同成果は「2011年秋季 第72回 応用物理学会学術講演会」で発表された。 ZnO薄膜は、FPDや薄膜太陽電池のキー部材となる透明電極向けでのITOの代替して期待されているが、現状では真空蒸着法であるスパッタリングや化学蒸着法であるCVDなどの大型設備が必要である。

これをもし、スピンコート工程で行うことができれば、真空装置を使わずに済むほか、高温プロセスでの処理も不要となるため工程の短縮とコスト低減に結びつく可能性が高い。今回、研究チームは。東ソー・ファインケムが開発した特殊な亜鉛材料を用い、スピンコート法で基板に液を垂らし、化学反応を起こして酸化亜鉛薄膜を形成する手法を考案した。

同材料は、材料中に酸素源を導入するなど、スピンコートによる塗布でも低温で酸化亜鉛の形成が可能なように工夫したもので、製膜条件を制御することで、結晶性でのZnO薄膜が200℃以下の低温で形成可能なことをX線解析や透過率測定および抵抗率測定で確認した。

この結果、200℃以下の大気圧での熱処理だけで製造することができるようになり、将来的にはプラスチック基板への応用などにも期待できることから、太陽電池などのデバイスへの応用などの実用化に向けた研究開発を進めていくとしている。