アルバックは8月29日、有機EL製造装置などのFPD製造装置や大型真空装置に対応した大型振り子バルブ「VFR-400」「VFR-500」を開発、製品化したことを発表した。また、合わせて異なる測定範囲の測定子が接続可能なトランスデューサタイプのG-TRANシリーズ「マルチイオンゲージ・SH2」ならびに自動高速分光エリプソメータ「UNECS-3000A」も開発、製品化したことを発表した。

アルバックが今回発表した新製品各種の外観

真空装置では、真空室(真空チャンバ)と真空ポンプは真空バルブにより仕切られている。真空バルブは一般的に「L型バルブ」や「ゲートバルブ」が多く使用されてきたが、近年では小型化や低振動といった特徴を持つ「振り子バルブ」がメインバルブとして用いられつつある。従来、振り子バルブは6~14インチサイズが主流であったが、有機ELや液晶などのFPDプロセスでは、より大型の振り子バルブが求められていた。

近年、従来バルブに比べ小型化、低振動の振り子バルブが真空装置のメインバルブとして用いられつつある

VFR-400/500はこうしたニーズに対応することを目的としたもので、VFR-400が16インチ、VFR-500が20インチとなっており、それぞれメカニカルロックを使用せず、独自のシール機構の採用により、振動の少ない開閉動作を実現したほか、バルブケーシングを装置から外すことなく、弁体ユニットの着脱が容易に行えるようにしたことによるメンテナンス性向上を実現した。

半導体やFPDなどの製造装置、しかもその一部分という地味な話題ではあるが、真空状態を構築するのは時間がかかるので、メンテナンス性が向上すると、そうした非生産的な時間を減らすことができるようになる

一方のマルチイオンゲージは、従来の1原理で大気圧(10+5Pa)から高真空(10-8Pa)までを測定することができなかったという欠点を克服を図った製品。ピラニゲージ「SPU」と大気圧センサ「SAU」の信号を取り込んで3機種を連動させる分離型の広帯域対応真空計で、カスタマの要求する真空度の領域に合わせて搭載する測定子の選択が可能なほか、故障した測定子だけの交換を可能にしたことによるランニングコストの低減や、視認性の高いLEDの搭載による遠くからの異常検知性の向上などが図られている。

従来の複合的真空計の利点と問題点、およびアルバックのマルチイオンゲージ「SH2」の特長

また、エリプソメータ「UNECS-3000A」は、高次移送子を用いた分光偏光方式を採用し、偏光干渉により得られるスペクトルが波長に依存して変化するため、スナップショットで瞬時に測定することが可能な装置で、300mmウェハに対応した自動マッピング機能によりウェハ表面の膜厚分布をマッピング測定することが可能だ。

最大6層まで膜厚を測定することが可能で、1層当たり最速20msでの測定が可能。300mmウェハ上で106ポイントを測定した場合、約120秒以下で測定を完了することができるという。

従来方式とUNECSシリーズの測定方式の違い

なお、振り子バルブについては2011年9月からの販売を予定しており、価格はVFR-400が138万円、VFR-500が188万円としているほか、マルチイオンゲージは中真空~高真空領域向け本体「SH2」が12万円、低真空~高真空領域までに対応したSH4とSPUを接続したタイプが18万円、SH2、SPUにSAUをさらに加えたタイプが23万円となっており、UNECS-3000Aは1500万円(本体/コントロータ、PC一式を含む)となっている。

なお同社では2011年10月から、規格品事業部で取り扱っている真空機器コンポーネントのデザインを変更する予定