大日本印刷(DNP)と富士通フロンテックは8月25日、低価格でコンパクトなUHF帯ICラベルタグを製品化し、2011年11月より発売することを共同で発表した。価格も1枚10円台と従来品と比較して大幅な低価格を実現している。

同製品の特徴の1つは、長さ55mm×幅15mm×厚さ0.2mmと小型なこと。貼り付ける場所の制約が少なく、さまざまな用途に適用できるようになっている。さらに、ラベルプリンタでバーコードや文字などを印字できるため、目視情報の印字やバーコードシステムとの連携も容易に行える仕組みだ。

そんな小型サイズながら、通信距離が約5m(4W-EIRP円偏波アンテナ使用時)と長い点も特徴だ。通信距離が長いことから、ゲート通過時の一括検品、倉庫でのモバイル型リーダ/ライタを利用した棚卸し業務などにも向いている。

そして最大の特徴は、タグ同士が重なり合っても瞬時に多量の情報を正確に読み取れることだ。近距離で重なり合うと、UHF帯ICタグは読み取り率が低下してしまうことが問題となっていたが、同製品は1~2mm間隔でも個別認識が可能。その上で、一括読み取りが可能なアンテナパターン技術も導入されているので、薄い書類などに貼り付けて100枚ほど重ねたとしても、一度に正確に読み取ることができるのである。

さらに冒頭で述べたとおり、1枚10円台という低価格も魅力。10円台というのは10万枚/ロット時の値段だが、この低価格は安価な材料の仕様と効率的な生産によってなしえたものである。

また、2012年下期に予定されている周波数移行における、新周波数帯920MHzにも完全対応しており、無駄になる心配はない。現行周波数帯950MHzと同等の通信距離を維持するので、移行後も業務効率を低下させることなく運用可能となっている。

今後の展開としては、今後3年間で約1億枚の販売を目指すとしている。

シール感覚でペタペタと貼れるコンパクトサイズ。日本では普及が海外ほど進んでいないが、価格や使い勝手に秀でた同製品の登場で、日本でもUHF帯ICラベルタグの利用が進むか?