富士通研究所は、カラー電子ペーパーのパネル構造と画面の書き換え方式を見直すことで、従来比3倍となるコントラスト比7:1、および従来比2倍の画面書き換え速度0.7秒を実現することに成功した。

同社が開発した電子ペーパー技術は、2007年より富士通フロンテックから携帯情報端末「FLEPia」として製品化、提供されてきた。

FELPiaは、表示メモリ性のあるコレステリック液晶パネルを積層した構造で、コレステリック液晶が特定波長の光(RGB)を各色の層ごとに反射する特性を利用してカラー表示を実現している。これにより、一般的な液晶ディスプレイなどで多く用いられている赤緑青のカラーフィルタを用いる方式と比べて、より明るいカラー表示を実現している。

コレステリック液晶方式カラー電子ペーパーの構造

今回、新たに開発された技術は、光をより多く反射できる新規液晶材料の開発と、光のロスを少なくする表示パネルの開口率(有効反射領域)の拡大により、明るさを従来比1.3倍に改善したほか、黒表示時の入射光の散乱による余分な反射を抑制するパネル構造の実現により、コントラスト比7:1を達成した。

富士通研究所が開発したカラー電子ペーパーの表示画像

また、駆動制御法を新規に開発したことにより、書き込み速度を従来比約2倍に高速化。高解像度画面(XGA:画素数102万4768)を0.7秒で書き換えすることが可能となった。

なお、同技術を搭載したカラー電子ペーパーは、2010年10月に富士通フロンテックから製品化される予定で、携帯情報機器のほか、各種アプリケーションへの応用が計画されているという。