リコーは8月4日、2011年度第1四半期(2011年4-6月)の決算概要を発表した。売上高は前年同期比3.5%減の4661億4800万円と微減だったものの、営業利益が同54.2%減の100億700万円、税引き前純利益が同45.0%減の85億2300万円、純利益が同53.0%減の34億4600万円と大幅な減益となった。なお、為替の影響を除いた場合、売上高は同0.1%と横ばいになるという。

2011年度第1四半期の決算概要

リコー代表執行役副社長執行役員の三浦善司

事業別の状況としては、「画像&ソリューション分野」は、売上高が前年同期比3.0%減となる4121億円となり、内訳としては、画像ソリューションがMDS事業をネットワークシステムソリューションから移管したものの同4.6%減の3678億円、ネットワークシステムソリューションが同13.2%増の442億円となった。また、営業利益は前年同期比111億円減の268億円となった。

こうした状況について「残念なことだが、基盤である画像ソリューションが震災影響で落ち込んでいる。国内は3月の反動でハードが高い伸びを示したが、ノンハードが下がっており、海外もカラーMFPが2桁成長を果たすも、モノクロMFPが落ち込んだ影響が出た」(同社代表執行役副社長執行役員の三浦善司氏)と分析している。

画像&ソリューション分野の業績概要

「産業分野」の売上高は同9.9%減の251億円となった。主に半導体が震災の影響を受け、部材などが入手できなかった結果で、半導体単体で5億円の赤字となっており、事業部全体でも前年同期の4億円の黒字から4億円の赤字となった。ただし、「半導体は年間を通じてゼロベースに持っていく計画」としており、それに伴い、事業部全体での浮上を狙うとする。

産業分野の業績概要

そして「その他分野」の売上高は同4.8%減の288億円となった。PENTAXの買収を進めているデジタルカメラも震災の影響を受ける形での伸び悩みとなり、その結果、営業損益は前年同期の1億円の損失から5億円の損失となった。ただし産業分野同様、「改善を進めており、年間では赤字を解消できる見込み」としている。

その他分野の業績概要

また、地域別の売上高は、日本が画像ソリューション分野が伸長したほか、ネットワークシステムソリューション分野でITインフラサポート&サービスなどが増加したものの、全般的には震災による企業活動の停滞や個人消費活動の停滞による影響があったことから、前年同期比1.0%増の2151億4700万円にとどまった。

また米州の売上高は、震災影響による製品出荷の遅延などの影響もあり、同13.4%減の1155億6900万円となった。そのため、営業損益も前四半期で黒字化を果たしたものの、42億円の損失を計上した。この損失については「残念な結果となったが、製品供給は9月末、遅くても12月までには元の状態にまで戻る予定。実は在庫自体は増えており、サプライチェーンがうまく働かなかったり、仕掛品の増加やオプションを用意できずに出荷そのものの見合わせということが多かった。そのため、この赤字は一過性のものだと思っており、改善に向けた施策を進めていく」としている。

日本と米州の地域業績の概要

欧州の売上高は同0.6%減の1024億9400万円となり、営業利益は同10億円減の52億円となった。受注残が多く現地では好調とするが、「それをさばききれていない状況」とのことで、震災の影響による製品供給能力が落ち込んだことを要因としている。

欧州とその他地域の地域業績の概要

なお、同社では円高を鑑み、通期業績見通しの見直しを図っている。具体的には為替レートを1ドル85円から80円に、1ユーロを120円から110円にそれぞれ見直した結果、売上高は前回見通しから800億円減となる2兆100億円、営業利益を同160億円減となる540億円、純利益を同70億円減の220億円としている。この営業利益の160億円のマイナスは当初では為替の影響で90億円の利益を見込んでいたものが70億円の損失となったものがそのまま反映されたものだという。

2011年度(2012年3月期)通期業績見通し

同社では通期見通しの引き下げは行ったものの、2011年度の配当見通しは当初予定の33円/株から変更はしないとしており、利益が増えれば増配や自社株買いなどによる価値向上を図っていく方針としている。