日本マイクロソフトは29日、これまでパブリックベータプログラムとして提供を行っていた企業向けクラウドサービス「Office 365」を正式リリースした。機能に応じて複数の料金体系が用意されており、最低価格は、1ユーザーあたり月額600円。

Office 365は、「Business Productivity Online Suite(BPOS)」の後継サービスで、ファイル/スケジュール共有、インスタントメッセージやWeb会議などのコラボレーション機能を提供するクラウドサービス。これまで、こういった機能を利用する場合には、サーバの導入が必要になったが、その場合、サーバ等の初期投資や日々の管理が問題となる。特に、専任のIT管理者がいない中小企業にとっては、大きな障害となっていた。そこで、Office 365では、月額600円からという低価格により初期投資の問題を、クラウドサービスによって管理の問題を解決しようとしている。

ファイル共有のためのチームサイト

ファイルを共有してのビデオ会議

Office 365では、メール、スケジュール、施設予約などが行えるExchange Online、ドキュメントの共有やポータル機能を提供するSharePoint Online、インスタントメッセージやビデオ会議機能を提供するLync Onlineで構成される。また、ブラウザを利用したOfficeの文書の簡易編集も行えるOffice Web Appsも提供される。中小企業向けのプランPでは、これらの機能が1ユーザーあたり月額600円で利用できる。プランPでは、最大50人までの組織で利用可能だ。

日本マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員 本部長 ロアン・カン氏

また、エンタープライズ向けのプランEでは、これらの機能に加えて、ActiveDirectoryの情報と同期する機能や、デスクトップ版のOfficeのフル機能が使えるOffice Professional Plusを含んだライセンスもあり、月額1ユーザー1,000円から利用できる。

日本マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員 本部長 ロアン・カン氏は、「BPOSは2年前から提供しているが、この1年間で利用者はワールドワイドで4倍に、日本では5倍になっている。パートナーの数も2年前の30社から700社まで拡大している」と述べ、クラウドサービスがパートナーのビジネスチャンスになっていると指摘した。

米マイクロソフト オフィスプロダクトマネジメントグループ担当 コーポレートバイスプレジデント 沼本健氏

また、米マイクロソフト オフィスプロダクトマネジメントグループ担当 コーポレートバイスプレジデント 沼本健氏は、「ビジネスは進化しており、生産性を向上させるため、コラボレーションテクノロジーが求められている。Office 365がマイクロソフトの答えだ」と述べ、今後企業がビジネスを効率化する上では、コラボレーション機能が重要である点を強調した。

キャンペーンも実施

日本マイクロソフトでは、Office 365の正式リリースにともない、日本独自の販促策として、事業継続計画(BCP)簡易アセスメント、「365 円クーポン」を提供する。

事業継続計画(BCP)簡易アセスメントは、2011年8月31日までにOffice 365の試用版に登録を行い、マイクロソフトの企業向け情報提供サービスであるMSBCから申し込みを行った場合に、ユーザーに対して、事業継続計画 (BCP) 簡易アセスメントを提供する。このアセスメントは、オンラインで提供され、ユーザーは質問項目に回答していくことで、自社におけるBCPへの対応度を認識し、改善のためにどのような対応が必要であるかを確認することができる。

一方、「365 円クーポン」は、2011年7月31日までにOffice 365を新規に購入し、キャンペーンサイトから申し込みを行ったユーザーから抽選で30社に、GMO くまポンが運営する共同購入型クーポン サイト「くまポン」に一定枚数のクーポンを販売価格 365円で掲載する権利を提供する。なお、クーポン掲載に必要となる手数料に加え、通常のクーポン販売価格と365円の差額をマイクロソフトが負担する。