リコーは、独自の表示方式により、現在商品化、もしくは発表されているカラー電子ペーパーの技術と比較して、明るさ(白反射率)で約2.5倍、色再現範囲で約4倍となるカラー静止画像の表示を実現したことを発表した。

積層エレクトロクロミック方式によるカラー画像表示の例

電子ペーパーのカラー化は以前からニーズが高かったが、現在提案されているカラー電子ペーパーの方式は、原理的にも明るさや色再現性の課題が解決されていないのが実情である。

同社は2009年3月に、色の3原色(シアン・マゼンタ・イエロー)を発色し、かつメモリ特性を改善した新規有機エレクトロクロミック材料の開発と、2つの基板間に3つの発色層を形成したシンプルな積層素子構造を提案し、独自表示方式の開発に成功。低消費電力、低コストで明るい表示を実現するカラー電子ペーパーの実現可能性を実証していた。

今回は、同成果を元に、これまでの要素技術の開発段階から高精細な電子ペーパーの試作などの実用化に向けた開発を進め、明るく、色再現性の高いカラー画像を表示させることに成功したとする。

今後は、実用化に向けた開発を加速させ、信頼性/繰り返し耐久性(数万回の書き換えを保証)の向上と、画面サイズの拡大を図っていく方針。

最終的には細かい文字も表示できるドキュメントの表示装置を想定しているが、実用化開発と並行して、さまざまなアプリケーションへの展開を検討していくとしている。