マーケティングと技術の一体化を目指す「デバイス事業部門」

「デバイス事業部門」は、マーケティングと技術が一体となって、顧客の潜在ニーズを先取りした提案を行っていく方針で、「社内用途に依存しない、自立した事業として、拡大を図っていく」とする。

そのため、従来の8ドメイン会社の関連部門と、インダストリー営業部門を再編し、「オートモーティブ」、「デバイス」、「エナジーデバイス」の3ドメインが設置される。

デバイス事業分野は「オートモーティブ」、「デバイス」、「エナジーデバイス」の3ドメイン

中でも、「エナジーデバイス」は、グループの成長エンジンとして位置付けられ、成長の柱としてはリチウムイオン電池と太陽電池の2つが掲げられている。

リチウムイオン電池では、世界シェア1位にこだわっていく姿勢を見せており、市場シェアを拡大している韓国勢に対する競争優位を再構築するとともに、車載用や蓄電システム用など、新規分野での非連続な成長を目指すとする。

成長戦略としては、すでに2011年4月よりパナソニックと三洋のエナジー事業について、2012年1月の組織再編に先立ち1トップ体制に移行しており、事業構造改革と徹底した商品力強化を図ることで、パソコンや携帯電話向けなど、グローバルな主戦場で真っ向勝負できる態勢の確立を目指す。特に、低容量品については、生産の中国シフトを進める計画で、それをベースにしたグローバル最適調達を実施することで、コスト力強化を図りつつ、蘇州や北京などの拠点で、極板、セル、パックの一貫生産を拡大していく計画。なお投資額は、蘇州での新工場建設を含め、2年間で550億円規模が予定されている。

エナジーデバイスの2本柱となるリチウムイオン電池と太陽電池。リチウムイオン電池は低容量品の生産を中国へシフトさせる

こうした中国への生産シフトについて大坪氏は、「2010年は為替の差もあり、低容量品を韓国勢などに市場を取られた。大半の消費地は中国であり、海外での調達、生産を行うことで、韓国勢と物流面などの条件を同一にできる。リチウムイオン電池は生産のノウハウで生産効率が変わってくる。これまでの知見を活用した生産プロセスを用いることで、差がでてくると考えている」と説明する。

また、成長ドライバの1つとなる車載市場については、これまでの実績や幅広い商品展開を武器に市場成長を自ら牽引していくことで、エナジー事業全体で2012年度3600億円の販売を必達目標とし、2015年度には事業規模の倍増を目指すとした。

一方の太陽電池事業は、「2012年国内No.1」、「2015年グローバルTOP3」に向けた取り組みを加速していくとしており、世界最高水準の変換効率を誇る「HIT」太陽電池のコストダウンや多結晶Si型の買い入れによるラインアップ拡充を図り、同社グループの販売プラットフォームを活用した国内認定施工店の拡大を推し進めるほか、需要が高まっている、太陽光発電システムとリチウムイオン電池の多数連結による蓄電システムを、2011年夏には市場投入する計画。また、BtoB需要に対しては「エコスクール計画」などの提案を行っていき、2012年度国内シェア35%の獲得を目指すとする。

太陽電池関連はまずは国内での足固めを行い、その後、世界での成長を図るのが基本路線ながら、随時市場規模の大きな欧州などへの展開も図っていく

さらに、2012年度末までに、より高効率な次世代「HIT」太陽電池を、パナソニックプラズマディスプレイ尼崎第1工場(P3)で行う計画。P3は同社のプラズマディスプレイパネル(PDP)の生産を行っていたが、同社は2010年8月に第1期ライン(月産約12万台/42型換算)を中国でPDPおよびPDP関連製品・部品の製造、販売を行っている「上海松下等離子顕示器(PPDS)」に移設することを発表していた。

加えて、海外では欧米を中心に、電力・ガス会社との連携を加速し、大規模・業務用件名へのシステム提案力を強化していくとしており、これらの施策により、2012年度には、7600億円規模の売上高と営業利益率1.6%アップを実現し、その後のさらなる成長に勢いをつけたいする。