マイクロソフトが毎年世界規模で開催する学生によるITコンテスト「Imagine Cup(イマジンカップ)」の日本大会が17日に行なわれ、ソフトウェアデザイン部門は同志社大学のチームMI3、組み込み部門は複数大学の混成チームSunDonationが優勝した。両チームは日本代表として、今年7月に米ニューヨークで開催される世界大会へ出場する。
今年で9回目の開催となるImagine Cupは、世界100カ国・地域以上から約34万人の学生が参加した。ソフトウェアデザイン部門と組み込み開発部門では、国連が掲げる、貧困の撲滅や疾病の防止、普遍的な初等教育の普及といった8つのミレニアム開発目標(MDGs)に対する具体的なITソリューションをビジネスモデルも含めて提示することが課題となっている。
ソフトウェアデザイン部門で優勝した同志社大学のチームMI3(エムアイスリー)は、携帯電話を利用した総合診療システム「Dr.One(ドクターワン)」を披露。アフリカにおける携帯電話の普及率に目をつけ、メッセージベースの問診システムを構築することで乳幼児死亡率の引き下げを実現するソリューションを考案した。「三度目の挑戦で優勝できてうれいしい思いでいっぱい」(チームリーダー今井祐介氏)。昨年は日本大会準優勝、過去の挑戦を活かしてついに手にした日本代表の座だ。
組み込み開発部門の優勝はチームSunDonation(西脇春名・京都工芸繊維大学/ 山本哲也・早稲田大学/ 神田良輝・早稲田大学/ 田中天・大阪市立デザイン教育研究所、メンター:大田昌幸・早稲田大学大学院) |
組み込み開発部門の日本代表となったチームSunDonationは、デジタルサイネージを利用した募金ソリューション「SunDonation」を考案した。スポンサーのCMを視聴することが寄付行為になるというモデル。募金に協力したいユーザーと広告主を結びつけ、デジタルサイネージを使って柔軟に募金できる仕組みを提供する。MDGsにある「開発のためのグローバルパートナーシップの構築」を実現し、NGOの活動支援や各種課題解決に貢献するソリューションという。
各部門の他の結果は次のとおり。ソフトウェアデザイン部門2位は関西大学のチームKAISER、3位は関西学院大学のチームPIJIN。組み込み開発部門は、東京高専のチームcoccoloとサレジオ高専のチームSP2LCがともに2位となった。日本代表となったMI3とSunDonationは今後、今年7月に米ニューヨークで開催される世界大会に向けて、ソリューションのさらなる改善を図っていく。
なお、震災の影響により開催が遅れた日本大会に、震災関連プロジェクトで来日していたマイクロソフトの元チーフ・ソフトウェア・アーキテクトのレイ・オジー氏が駆けつけた。ソフトウェアの可能性を訴え、「学生のみなさんのイノベーションはすばらしく、将来世界を変えることになるかもしれない。今後君たちが手がけていくことが、日本の復興につながると信じている」と語りかけた。
※日本大会の詳細レポートは追って掲載いたします。