Hot Chipsの姉妹カンファレンスであるCool Chipsが4月20日から横浜情報文化センターで開催される。Cool Chipsは日本で開催されるVLSI設計関係の国際会議であり、海外出張をしなくてもこの分野の国際会議に参加できる数少ない機会である。
今年は3月11日の東北地方太平洋沖地震に端を発した福島第一原発事故の影響で海外からの出席者が来られるのかどうか心配なところであるが、主催者によるとIntelのShekhar Borkar氏やAMDのDenis Foley氏は予定通り来日することが確認されたとのことである。
例年と同じ3日間の会期で、初日の4月20日は2つの特別レクチャがあり、本会議は4月21日と22日に行われる。4月11日時点のCool ChipsのWebサイトで、Advance Programの箇所を見ると3日間のプログラムが掲載されている。
IntelのBorkar氏は4月21日の開会直後の基調講演を担当する。講演のタイトルは"The Truth and Myth of Embedded Computing"というもので、回路のエネルギー効率からヘテロジニアスなマイクロアーキテクチャ、オンチップの通信路など幅広い分野について述べ、組み込みコンピューティングの将来を展望するというものである。
続いて、NVIDIAの"From Multi-Core CPU to Many-Core GPU"と題する基調講演が行われる。講演者はNVIDIA Japanの馬路氏である。この講演ではNVIDIAの初代の汎用GPUであるTeslaと2代目のFermiの詳細なアーキテクチャについて述べ、マルチコアCPUとメニーコアGPUの電力効率についても考察する。
4月22日の朝には"AMD's Zacate、Low Power Fusion APU"と題するDenis Foley氏の基調講演が行われる。ZacateはBobcatコアと強力なGPUを1チップに集積したプロセサである。なお、ZacateはE-350という正式名称で発売されており、すでにこのチップを搭載したサブノートPCは店頭に並んでいる。Foley氏は、Fusionの設計の詳細や省電力技術のハイライトなどについて述べる予定である。
一般の論文発表セッションとしては、セッション4の再構成可能プロセサのセッションでは東芝からFlexGripというプロセサの発表と慶應義塾大学のSLD-1プロセサの発表が行われる。そして、セッション5は高性能チップ間インタコネクトと題するセッションで、ルネサス エレクトロニクスの80Gbpsのインタコネクトとトプスシステムズの3D LSI向けの低電力インタコネクトの発表が行われる。4月22日のセッション7は低電力設計のセッションであり、韓国のKAISTの3D TV用プロセサの発表、Imperial College Londonのループ解析によりパワーゲートを行うという論文の発表、シンガポールのNanyang Technological UniversityのCAMの省電力化技術の論文の発表が行われる予定である。
また、招待講演としては、"Full Software Implementation of Real-time ISDB-T Modulator on Dynamically Reconfigurable SoC Using Practical Co-design Environment"と題するルネサスの淡島氏の講演、"Advanced Machine Vision Technology Overcoming the Limits of Pixel Resolution"と題する東北大の青木教授の講演、"The Correspondence between Architecture and Application for High Speed Vision Chips"と題する東大の石川教授の講演が行われる。
そして4月22日の最後のプログラムとして、"Impact on society by fusion and harmony of mobile devices、 servers、 and networks -- Their direction of evolutions and optimal roles --"と題して携帯デバイス、サーバ、ネットワークの協調が社会に与える影響と将来の発展方向についてのパネルディスカッションが行われる。