Freescale Semiconductorは4月6日、同社子会社である東北セミコンダクタの仙台ウェハ工場の被害状況を調査した結果、深刻な損傷を受けているとの判断から、同工場を再開しないことを決断した。
同工場は2009年4月に、2011年12月に閉鎖する計画を発表しており、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震と津波の影響を受ける前までは、そのスケジュールで閉鎖に向けた準備が進められていた。
今回の地震発生時に同工場は操業を停止、工場内の社員(約600名)は全員無事に避難し、後の同社による調査でも全員の無事が確認されている。その一方で、同工場の被害状況を把握し、妥当な期間内に安全が確保された状態で完全または部分的な稼動レベルに復旧できるかどうかを判断するため、暫定調査を実施したところ、設備装置やインフラは広範囲におよぶ損傷を受けていることが発覚。継続して発生する大きな余震に加えて、引き続き懸念される安全上の問題やインフラの問題、その他、仙台地区のさまざまな基盤設備の被害により、妥当な期間内に仙台工場でのウェハ製造を稼動レベルに復旧することは難しい状況にあり、カスタマのニーズに応えるための最善の策は、他の200mm工場への生産移管を加速させることであると判断したという。
仙台工場では、マイクロコントローラ、アナログIC、およびセンサ製品の製造を担当しているが、2009年に発表された閉鎖計画に伴い、製造中止品の積み上げ在庫や、同社の他工場やファウンドリへの生産移管を進めてきており、そうした積み上げ在庫製品は仙台以外の工場で保管されていたため、震災の被害を受けておらず、生産移管についても、一部の製品はすでに技術移管が終了しており、残りの製品も移管プロセスが進められている状況にあるという。
なお、同社の会長兼CEOのRich Beyer氏は、「仙台の社員の多くが壊滅的な被害を受けた今回の状況において、Freescaleは、社員やその家族が落ち着いた生活を取り戻すことができるように支援に取り組みます。この目的に向けて、Freescaleは、仙台工場の社員に対して期間を延長して給与の支払いを継続し、総合的な退職パッケージを提供します」とコメントしている。