英国の国家プロジェクトである「HPC Wales」は、英国ウェールズの産業活性化を目指すプロジェクトのパートナーとして富士通を選定したことを発表した。

HPC Walesは、英国ウェールズにスーパーコンピュータ(スパコン)を導入し産業活性化を推進する国家プロジェクトとして、2010年7月にウェールズ議会政府より発表されたものでウェールズ大学とSt. David's Day Groupに属する大学で構成する非営利団体によって管理運営され、2015年まで継続される。2011年末までにシステムの稼働を予定しており、富士通は同プロジェクトのテクノロジーパートナーとして、技術力とイノベーションに対する姿勢、そして日本におけるスーパーコンピュータの実績が評価される形となって選定された。

提供されるスーパーコンピュータシステムは、同社のブレードサーバ「PRIMERGY BX 900」シリーズ約1,400ノードからなり、理論ピーク性能の合計は約190TFlopsで、2015年までの運用保守サポートを含め、1500万ポンドで受託した。

同システムは、CardiffとSwanseaの2大学に大型のスーパーコンピュータを、他6拠点に中・小型のスーパーコンピュータを配置する分散型のシステムで、大型および中型のスーパーコンピュータでは、ノード間接続に高速インターコネクトである「InfiniBand」を採用し、ウェールズのあらゆる高等教育機関と民間企業から利用することが可能となっており、これにより地域の経済成長と技術力向上を目指すというもので、2015年までにかかるスパコンなどの設備、運用・保守費、産学にわたるスパコンの利用技術向上のためのトレーニング、各研究分野の連携や、産業開発のためなどに使用される費用として総額4000万ポンド(2011年3月23日時点の日本円に換算して約52億8900万円)が予定されており、これにより約400件の新規雇用、10件以上の新規ビジネスを創出するなど、10年間で2280万ポンドの経済効果を生み出すことが期待されている。

また、同プロジェクトにおいては富士通も研究開発を共同で実施し、環境、低炭素エネルギー、生命科学、先端材料、ものづくりなどの重要分野における欧州でのスーパーコンピュータ活用をすすめていく計画としている。 なお、同社は2010年5月に欧州のスーパーコンピュータ市場に参入表明しており、今回の受注は、「重要な意義をもつ商談」と同社では説明しており、PCクラスタからハイエンドのスーパーコンピュータまで、幅広い製品ラインナップ、強力なサービス体制、および30年以上にわたるスーパーコンピュータサポートで蓄積したノウハウを通じて、HPC Walesの事業をトータルでサポートしていくことに加え、今後も、欧州のみならずグローバルにおけるスーパーコンピュータビジネスを継続し、カスタマとともに豊かで夢のある未来社会の実現を目指すとしている。