Analog Devices(ADI)は3月9日、同社の第4世代BiMOSプロセス技術を採用したアナログジャイロセンサ「ADXRS64x」ファミリとして、iMEMSジャイロセンサ「ADXRS646」「ADXRS649」「ADXRS642」3製品を発表した。

同社日本法人アナログ・デバイセズのマイクロマシンテクノロジーグループ ディレクターである永井詢也氏は、同社が定義する高性能MEMSジャイロセンサについて、「3つの定義がある」と説明する。1つ目は基本的なモーション検知や新しい機能を備えているだけではなく、重要なシステム性能パラメータ、安全性や信頼性の強化、高精度な測定/診断以下の要求項目のうち、複数の項目に対応している。2つ目は衝撃、振動、温度などのあらゆる条件下で、感度、ノイズ、オフセット・シフトなどの重要な仕様を維持することが可能である。そして3つ目が、必要不可欠の課題であるシステム性能の向上を実現することにより、高効率化やシステム停止時間の短縮などのメリットを提供できる、というものとなっている。

ADXRS64xファミリは、第4世代技術として、従来ジャイロファミリ「ADXRS62x」の2倍となるクワッド差動センサを搭載し、0.015°/s/g以下のリニア加速度に対する感度を実現しているほか、バイブレーション・レクティフィケーション0.0001°/s/g2以下を実現している。

また、バイアス安定性は8°/hr以上、ノイズ密度0.01°/s/√Hz(0.6°/√hr)以下、起動時間3ms以下、消費電力3.5mA以下を実現しており、角度測定範囲は646と642が±300°/sで、649が±20000°/sを実現しており、649は外付け抵抗を用いることで±50000°/sまで機能拡張することが可能となっている。

ADXRS646の概要

ADXRS649の概要

ADXRS642の概要

適用アプリケーションは鉄道や船舶などの「車体安定化」、産業利用の「計測機器/プロセス制御」、レーダーや航空機などの「ナビゲーション」、超音波診断機などの「医用」、「軍事/防衛」、そして「農業/建設」の6種類としており、日本では車体安定化や計測機器/プロセス制御、医用などが市場として想定されるという。

すでに米国では、米軍が3製品中2製品を活用することが決まっているとしているが、米国の輸出規制にはギリギリかからない性能を実現したジャイロセンサとなっており、4つの差動センサの高い対称性が評価されていることが強調された。

製品提供スケジュールは、ADXRS646は評価ボードも含めすでにサンプル出荷を開始しており、サンプル価格は1000個受注時の単価が75.39ドル(米国における販売価格)となっている。量産開始は2011年7月を予定している。ADXRS649はすでに量産出荷を開始しており、評価ボードの提供も開始されている。サンプル価格は同58.59ドル(米国における販売価格)となっている。そしてADXRS642は評価ボードも含めサンプル出荷を開始しており、サンプル価格は同41.85ドル(米国における販売価格)となっており、量産開始は2011年4月からを予定している。

なお、同ファミリは前世代ファミリとピンコンパチブルとなっており、従来品を用いているカスタマは同ファミリに置き換えるだけで、性能向上を図ることが可能となっている。

ADIの提供するジャイロセンサのポートフォリオ(黄色の丸がロジック統合型のアナログジャイロ、黄色の四角がロジック統合型のデジタルジャイロ、青い四角がジャイロセンサ(デジタル)のみ、緑の四角が4/6/9自由度の慣性計測ユニット(IMU))