Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは、研究対象となる特定のゲノム領域や転写産物を集中的に解析することを可能にする商用ターゲットRNA濃縮システム「SureSelect RNA Capture キット」を発表した。同キットを用いることで、研究対象の遺伝子の発現レベルを精度よく測定し、アレル特異的な発現やスプライシング、融合遺伝子を検出することが可能になると同社では説明している。

同キットは米Broad InstituteのJoshua Levin氏らの研究をもとに開発したもので、Broad Instituteと同社との継続的な協力から生まれた製品で、1つの研究の中でターゲットゲノムおよびトランスクリプトームのデータを融合させ、「Integrated Biology」的観点からサンプルを解析することが可能になる。

こうした機能は、同一の遺伝子セットについて最大6.8 Mb(メガベース)のDNAとRNAを濃縮することが可能なカスタムSureSelectデザインの作成により実現しており、同社のデザインツール「eArray」を使うことで、個々の研究のニーズに合ったキットを作成することが可能となる。

また同社は、同キットに加えて、ターゲットRNA濃縮用の「SureSelect Human Kinomeキット」も発表した。これは、キナーゼおよびキナーゼ調節遺伝子の包括的なセットの解析を促進するもので、DNA濃縮とRNA濃縮のそれぞれに対応する製品を持っており、これにより、転写調節におけるゲノム変異の影響を効率良く調べることができるようになるという。

Illumina Genome AnalyzerやHiSeq、Life TechnologiesのSOLiDなどの次世代シーケンシングプラットフォームに適合するように最適化されており、マルチプレックスシーケンシング用にサンプルをインデックス化できるので、ワークフローを簡単にスケールアップすることが可能だ。また、試薬はすべて、自動分析に対応しているほか、RNA Capture用の1ボタン自動化プロトコルも、今後、同社の自動分注システム「Bravo」のプロトコルに追加される予定という。

なお、RNA Capture用のSureSelectカスタムおよびカタログキットは、200Kb未満から6.8Mbまでの領域の濃縮に対応しており、1キットあたりの反応数は5~10000となっている。