マイクロソフトは1月11日、都内5拠点の移転先として発表している新本社オフィスを披露した。新オフィスは、東京都港区の品川グランドセントラルタワー19~31階に開設。現在の新宿本社オフィス、代田橋オフィス、赤坂オフィス、初台オフィス、霞が関オフィスに勤務する従業員約2500人が今週末から移転を開始する。

マイクロソフト新本社ビルの入り口。ビルの一部を間借りするかたちだが、マイクロソフト専用の入り口が用意されている(本稿で掲載している写真はすべてクリックで拡大できる)

マイクロソフト新本社ビルの受付。現在も一部工事中

新本社オフィスの総フロア面積は3万6800m2。移転元となる上記5オフィスの合計は2万8100m2なので、約30%拡大することになる。19~31階のうち、20階~29階がオフィスフロア。30階、31階が顧客やパートナー向けのミーティング/デモスペースで、19階が食堂や大会議室など、「One Microsoftフロア」と名付けられたマイクロソフト社員向けの共有スペースになる。

新オフィスの概要

顧客/パートナー向けのミーティング/デモスペースとなっている2フロアのうち、31階は法人ビジネス向け、30階はコンシューマービジネス向けのフロアになる。

31階は、大小さまざまな会議室に加えて、マルチタッチに対応した巨大なデジタルサイネージや、ユニファイドコミュニケーションを体験できる会議室が用意され、マイクロソフト製品を活用した次世代ワークスタイルのデモも体感できるようになっている。

法人ビジネス向けに作られた31階の入り口。写真中央のガラスに囲まれたスペースがユニファイドコミュニケーションを体験できる会議室。同じフロアに用意されたほかの会議室とつなぐことも可能

マルチタッチに対応したデジタルサイネージ。ユニファイドコミュニケーション対応会議室の向かいに設置されている

31階の会議室。壁をスライドさせると巨大モニターが登場する会議室や、同時通訳ブースが設けられた会議室、大人数を収容できるセミナールームなど、さまざまな部屋が用意されている

31階のフロアマップ

一方の30階には、PCやXbox、携帯電話、車載端末、プリンター、キーボード/マウスなど、コンシューマー向け製品が展示される予定。また、会議室のほかに、コーヒーなどを提供するドリンクカウンターも用意され、打ち合わせの前後に砕けた雰囲気の中で雑談することも可能という。

コンシューマービジネス向けに作られた30階の入り口。奥に見える階段で、31階とつながっている

30階は、コンシューマービジネス向けとあって、全体的にポップなデザインになっている。写真右側の円形スペースには書棚が設置される予定。写真奥の青色の壁に配された白い石は、点字で「マイクロソフト」と描いているという

通路との仕切りを取り払うことができるミーティングスペースも設置されている。椅子も法人フロアのものと異なりカラフルなものが選ばれている

30階に設置されているドリンクカウンター

30階のフロアマップ

20階~29階のオフィスフロアは、約60%の社員に対してフリーアドレス制を適用している点が大きな特徴の1つ。「現在、営業やマーケティングなどの部署では、夕方などのオフィスに戻る社員が多い時間帯でも自席にいるのは半分を超える程度」という状況であることから、固定席を減らして、在席者1人当たりのワークスペースが広くとれるようにレイアウトされている。

20階~29階のオフィスフロアの様子。フリーアドレス制を採用している。なお、照明は500ルックスと従来の半分の照度のものを使用。それに伴い、各社員にはタスクライトも提供されるという

社員や部署の荷物を収納するスペース。奥にある白色の個人向けロッカーにはダイヤル式のカギが付いている

また、オフィスフロアでは各部署のワークスペース内に「ハブコミュニケーションスペース」と呼ばれる共有スペースを設置。こちらは、フリーアドレス制の採用により、固定席のようにチーム内で直接顔を合わせながら仕事をする機会が減る可能性もあることから、部署内のコミュニケーションを促進する目的で用意されている。日本語では「部室」と呼ばれており、「内部に設置する什器や外壁の色も、それぞれの部署で自由に決めてもらった」という。

ハブコミュニケーションスペースの様子

ハブコミュニケーションスペースの内部に設置された什器やガラスの色は各部署で選定された

加えて、今回オフィスフロアを設計するうえで重視されたのが、十分な会議室の確保だという。20階~29階の10フロアで約300もの会議室を設置。海外オフィスとの打ち合わせが多いマイクロソフトらしく、壁にモニターとカメラが設置された定員1、2名のオンライン会議室が多数並んでいるほか、6名程度で利用できる小さめの会議室も用意されている。

オフィスフロアに設置されたオンライン会議用の会議室

6名程度で利用できる会議室も多数用意されている

20~29階のフロアマップ

19階は、大会議室や食堂など、社内共有施設が用意されたフロアになる。前述のとおり、このフロアは「One Microsoftフロア」と名付けられており、食堂スペースも「One Microsoft Cafe」という名称になっている。One Microsoft Cafeの座席は多様で、大きめの壁で仕切られたボックス席や、ゲーム機が設置されたスペースも設けられている。

One Microsoftフロアの大会議室に設置されている19階の全体図を示す案内板。この部屋は社内向けの説明会などで利用される予定

食堂の様子1。One Microsoft Cafeと名付けられている。テーブルや椅子などはこれから設置される予定

食堂の様子2。食事は、専門の業者によって提供される。なお、社員でも食事は有料

食堂の様子3。料金の支払いには、Suica/PASMOと互換性のある電子マネーやクレジットカードが利用できるという

食堂にはさまざまな種類の席が用意されている。写真右側がボックスタイプの席

食堂に設けられた、TVゲームができるスペース

なお、マイクロソフトでは、今回の移転に伴い、「Microsoft Lync」を活用したユニファイドコミュニケーション環境を完全導入。Outlookなどと統合されたオンライン会議、IM/プレゼンス機能が利用できるほか、電話に関しても、基本的に固定電話を廃止してPCを使ったIP電話を採用し、居場所に関係なく通話できる環境を用意している。

また、「2012年までにエネルギー消費量を2007年度比で30%削減する」という環境目標の実現に向け、電灯にLEDを採用し、自動消灯機能も取り付けたほか、外気を活用した空調設備や、IDと連携させた無駄を抑える複合機システムなども採用している。加えて、5つのオフィスが統合されたことで、これまで1日あたり5000回もあったというオフィス間の行き来がなくなり、大規模なコスト削減も実現される見込み。

新本社オフィスにおける環境への配慮

移転作業は、今週より週末を利用して3回に分けて進められ、2月6日にはすべての部署が完了する予定。2月7日より、品川グランドセントラルタワーでの業務が正式にスタートすることになる。

マイクロソフトは今年で設立25周年を迎える。2月1日から社名を変更することも発表しており、移転完了時には「日本マイクロソフト」へと改まっていることになる。