情報処理推進機構(IPA) ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)は11月29日、品質の高い組込製品の開発を目指し、経験の浅い技術者でも品質の高いプログラムが記述できるよう「組込みソフトウェア開発向けコーディング作法ガイド C++言語版(ESCR C++言語版)」を発行したことを発表した。

組み込みソフトウェアの開発は、機能規模の拡大に伴い、プログラムの再利用などがしやすいC++言語の利用が拡大しており、2010年に経済産業省が行った組み込みソフトウェア産業実態調査報告書によると、組み込みソフトウェアの約20%はC++言語で開発されていうという。

しかし、同報告書で発生するトラブルの原因別調査から推計すると、トラブルの原因がプログラムの誤りによるものが全体の約20%にのぼり、トラブルによっては消費者が直接被害を受けてしまう場合がある。IPA/SECでは、このようなトラブルの発生を回避もしくは低減させ、国民生活の安心安全を確保するためには、組み込みソフトウェアの品質の維持・向上が不可欠であると考え、その実現に向けた取り組みとして、今回ESCR C++言語版の発行を行ったという。

経験の浅い技術者でも品質の高いプログラムを記述できるよう、プログラム品質向上のために、どのような点に注意して開発すればよいか、およびプログラム品質向上のために、どのような記述方法でプログラムすればよいかの2点に着目し、コーディング作法やコーディングルールを整理、解説しているのが特長。

なお、IPAとしては、ESCR C++言語版の利用が組み込みソフトウェア開発者間で広まることで、製品トラブルの低減や、国民生活の安心安全の確保に寄与することを期待しているとコメントしている。