独Vector Informatikおよびベクター・ジャパンは、ECUキャリブレーションのためのソフトウェアツール「CANape」の最新版として「CANape 9.0」を発表した。

CANape 9.0のインタフェース

同バージョンでは、開発者はECUの測定およびキャリブレーションにおいて新しいASAM測定データフォーマットであるMDF4.0を活用することが可能となった。

また、従来は4GBの制限のあった測定ファイルも、任意のサイズで書込みが可能となった。このため長期間や大容量データの測定を連続して行えるようになったほか、測定データを事前にソートし、MDF4フォーマットで保存できるため、大容量のファイルの場合、従来であれば長時間を要した測定終了時のソート処理も不要となる。

さらに、容量の大きい測定データを自動的かつ迅速に評価できるよう、CANape9.0ではツールのデータ解析機能を拡張した。これにより、ユーザーは条件をリンクして、複雑な分析の記述を簡素化することができるようになるほか、内蔵のスクリプトデバッガを用いることで、大量の関数とスクリプトをより効率的に開発できるようになる。

加えて、ドライバアシスタンスシステムで使われるイメージ処理アルゴリズムを素早く高い信頼性で検証することを可能とするために、ユーザーはそれらをDLLとしてCANapeに統合することが可能だ。開発者は同アルゴリズムをXCPを介して測定および適合が可能である。DLLのモデルベース開発用に、MathWorksのReal-Time Workshopのためのターゲットも用意されている。

このほか、FlexRay開発の早期のフェーズですでに実装されている診断機能については、実際のECUでテストする必要があるが、ECU内の診断機能を直接FlexRayバス経由でテストが可能。ISOのトランスポートプロトコルがサポートされているが、要望に応じて、AUTOSARトランスポートプロトコルや自動車メーカー固有のプロトコルにも対応が可能となっている。