NEC、インテル、マイクロソフトは11月10日、デジタルサイネージ事業において国内およびグローバル市場で協業すると発表した。3社は今後、互いが有する製品や技術を持ち寄り、次世代のデジタルサイネージ関連機器やソフトウェアの開発に取り組む。

インテルとマイクロソフトは今年1月、デジタルサイネージ分野での協業を行い、それに基づき開発標準プラットフォームの提供やコンセプトモデルの開発を行うと発表した。インテルは今年10月に、デジタルサイネージ向けコントロールモジュールとスロットの標準仕様「Open Pluggable Specifications」(以下、OPS)を発表した。今回、2社の提携にNECが加わった格好だ。

NEC 通信・メディアサービスソリューション事業部長 高石勝氏

NECの通信・メディアサービスソリューション事業部長の高石勝氏は、「デジタルサイネージは初めに情報表示のために導入されていたが、そこから店頭などでのプロモーションのためのメディアとして利用されるようになった。今後はさらに広告表示による利益を生むメディアとして利用が拡大することが見込まれる。それに伴って新たな技術が必要となる」として、次世代のデジタルサイネージに求められる技術を実現するために、今回の協業が行われたと述べた。

今回の協業の下、NECは「インテルのCore i5/i7プロセッサを搭載し、OPSに準拠するデジタルサイネージ専用のディスプレイと制御モジュールの開発」、「Windows Embedded Standard 7を活用したコンテンツの開発」、「デジタルサイネージと視聴効果の測定機能の強化」、「デジタルサイネージの運用管理機能の強化」を行う。

NECがインテルの技術を活用して開発するディスプレイと制御モジュールの概要

インテル 組込み/通信事業部 小売/デジタルサイネージ担当部長 ホセ・アヴァロス氏

OPS対応のディスプレイには制御モジュールが埋め込まれるためスペースの省力化が実現され、モジュールは着脱が可能なため保守性も高まる。コンテンツはWindows Embedded Standard 7のタッチパネル、ジェスチャーコントロールといった表示技術や外部センサ連携機能を活用し、インタラクティブ性を向上させる。

これまで効果測定機能とデジタルサイネージは異なるハードウェアに搭載されることが多かったが、Core i5/i7プロセッサとWindows Embedded Standard 7により、デジタルサイネージと視聴効果の測定機能を1つの制御モジュールで動作させることが可能になる。さらに、NECのBIツールに加え、Microsoft SQL Server 2008 R2のBI機能を用いることで、多角的な分析が実現される。

運用管理機能としては、インテルのアクティブ・マネージメントテクノロジを用いて、分散配置されたディスプレイと制御モジュール装置の電源制御、リモート管理の機能が提供される。

マイクロソフト Group Marketing Manager, Windows Embedded Marketing ジョン・ボラディアン氏

発表会にはインテルとマイクロソフトの責任者も同席した。インテルの組込み/通信事業部 小売/デジタルサイネージ担当部長のホセ・アヴァロス氏は、「これまではCore i5とCore i7を搭載した2種類のデジタルサイネージを用いる場合、それぞれに対応したディスプレイとモジュールを開発する必要があった。しかし、OPSに準拠することで、ディスプレイとモジュールは1種類で済む。また、リモートアクセスを行えば、ネットワークにかかるトータルコストを減らせると」と、OPSがデジタルサイネージに要するコストを削減すると説明した。

マイクロソフトのGroup Marketing Manager, Windows Embedded Marketingのジョン・ボラディアン氏は、「Windows Embedded Standard 7はWindows 7に準拠しており接続性が高い。当社はSQL Server、Windows Serverを含め、エンド・ツー・エンドで製品を提供することができる。Windows Serverに付属しているBIツールを用いれば、インテリジェントな形でデジタルサイネージを介して情報を発信できる」と述べた。