田中貴金属工業は11月9日、薄膜Si太陽電池などの銀薄膜形成において国内では初めてとなる銀系大型円筒スパッタリングターゲットを2010年11月10日より提供開始することを発表した。
同製品は、円筒面を回転させることで、常にスパッタ面を移動することができるため、従来のプレーナ型(円盤、角板)より使用効率が約3倍高い約80%程度の使用効率で薄膜形成をすることができる銀および銀合金の大型円筒スパッタリングターゲット。最大で長さ2,700mm、外径160mm、厚み20mmまで対応でき、大型化の進む薄膜Si太陽電池の裏面反射膜や電極のほか、建材用low-Eガラスの特殊金属膜層などに対し、銀薄膜を形成することができるようになる。
従来、円筒型ターゲットを装着する回転カソードユニットの基本特許は海外メーカーのみに提供されており、国内で使用されているスパッタ装置に回転カソードユニットはほとんど導入されてこなかった。しかし、近年、その特許が切れ、国内でも回転カソードユニットが製造可能となったことで、ターゲット材の大型化が進む近年において、国内のスパッタ装置メーカーも徐々に回転カソードユニットの導入を開始しており、対応するスパッタリングターゲットの国内供給が求められていた。
同社では、こうした国内カスタマのニーズに対応するため、材料調達から製造、販売、回収、リサイクルまでのすべてのサービスを一括して国内で提供する体制を構築、カスタマの生産性向上を助けていきたいとしており、薄膜Si太陽電池メーカーや建材用ガラスメーカー、スパッタリング装置メーカーなどを中心に、年間1億2000万円の販売を目指すほか、今後のさらなる大型化対応などを図っていくとしている。