National Semiconductor(NS)は、車載インフォテインメント・システム向けHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)機能付き「FPD-Link III」シリアライザ/デシリアライザ(SerDes)チップセットを発表した。
このFPD-Link III SerDesチップセットは、「DS90UH925Q」シリアライザと「DS90UH926Q」デシリアライザで構成されており、2製品ともDigital Content Protection(DCP)承認のHDCP保護インタフェース・プロトコルを採用し、1対のツイスト・ペア・ケーブル上でデジタル・ビデオ/オーディオ/双方向I2C制御信号を同時に伝送することが可能となっている。
HDCPは大手映画配給会社などの主要コンテンツ・プロバイダに支持されており、不正使用からビデオ・コンテンツを保護するため、各SerDesチップセットにはオンチップ・メモリ内に独自のHDCPキーが備えられている。同社のSerDesも同様で、コンテンツデータを暗号化し、HDCP仕様に基づく認証交換を行うことでコンテンツ保護を実現する。
コンテンツ保護のための処理機能を備えることで、データ認証と暗号化というコンピュータに負荷のかかるタスクをチップ上で実行することが可能となるため、インフォテインメント・システムの設計が簡素化できるようになるとともに、マイクロコントローラやFPGAなどの高価な2次的部品を不要にすることが可能となる。
DS90UH925Qはヘッド・ユニット・プロセッサからのデータを車載ワイヤ・ハーネスを通じて伝送するため、ビデオ/デジタルI2Sオーディオ/制御信号をシリアル化した情報ストリームに変換し、DS90UH926Qはシリアル化した情報ストリームを、セントラル・インフォメーション・ディスプレイとリアシートのLCDディスプレイの駆動のために再変換し、ビデオ/オーディオ/制御信号として出力する。
ビデオ・データと制御データを1対の差動ペア上で伝送することで、インターコネクトサイズ、重さ、コストを低減することが可能となるほか、システム設計の簡素化も可能となる。2チップともに10mを超える24ビット・カラーのビデオ・コンテンツのシリアル・ルーティングを行い、5MHzから85MHzのピクセル・クロック範囲を提供することが可能となっている。
DS90UH925Q(シリアライザ)は48ピンLLPパッケージで、DS90UH926Q(デシリアライザ)は60ピンLLPパッケージでそれぞれサンプル出荷がすでに開始されている。1,000個一括購入時の価格はそれぞれ11.25ドルで、量産品の出荷開始は2011年第2四半期を予定している。