富士通セミコンダクター(FSL)は10月14日、自動車のデジタルダッシュボードや、カーナビゲーションなどの画像表示に向けたLSI「MB86R11」を開発、2010年12月上旬よりサンプル出荷を開始することを発表した。サンプル価格は5000円で、量産時の販売目標は月産50万個としている。
同製品は、ARM Cortex-A9に、4つのビデオ入力、最大3つのディスプレイ出力のほか、車載LSIとして要求されるさまざまな周辺インタフェースを集約したシステムLSI。4つのビデオ入力ポートにより、各種映像入力を同時に処理することが可能で、1280×720ドットまでの入力機能、拡大・縮小機能、動き適応型インタレース・プログレッシブ変換機能を搭載し、ノイズの少ない映像を生成することが可能だ。また、ビデオポートの1ポートは最大1920×1080ドットのインタレース入力が可能となっておりデジタルTVの映像を入力することもできる。
さらに、3つのディスプレイコントローラを内蔵、そのうち2つは2つの画面を多重化して出力することができるため最大で5つのディスプレイ出力に対応可能。8つの階層表示と階層間ブレンドの機能を搭載しており、背景となる地図画面上に重ねた映像の輪郭部分をぼかすことで背景の映像に溶け込んだ表現が可能なほか、ディザ機能、ガンマ補正機能を搭載、解像度や色の特性が異なるディスプレイに対して高品質な表示を実現することができる。加えて、プログラマブルシェーダ機能も搭載しているため、光の反射や影の映りこみなど、より自然なグラフィックス表現が可能となっている。
このほか、輪郭強調、色彩補正、逆光時、夜間時のコントラストを見やすく調整する専用画像処理エンジンを内蔵。これにより、とりこんだビデオ映像の画質を向上することが可能なほか、映像データに応じバックライト輝度をダイナミックに調整、システムの消費電力削減も実現可能となっている。