川田テクノロジーズのグループ企業である川田工業は、産業技術総合研究所(産総研)と共同で、働く人間型ロボット研究開発用プラットフォーム「HRP-4」を開発したことを明らかにした。

軽量・コンパクト・低価格でありながら、研究開発用途として実用性に富んだ機能を備えていることを例えた表現である「スリム・アスリート」という概念を盛り込んだ 「HRP-4」の外観

共同開発の分担は、川田工業が人間型ロボットハードウェアの開発を行い、産総研の知能システム研究部門ヒューマノイド研究グループが動作制御ソフトウェアの開発を行った。

HRP-4は産総研が開発したサイバネティックヒューマン「HRP-4C」の高密度実装技術を応用し、物体操作に適するように片腕7自由度に改良。全34自由度を持ちながら、身長151cm、体重39kgの軽量でスリムなボディを実現した(HRP-2は身長154cm、体重58kg、全30自由度)。

また、HRP-4の制御システムにはRT-Preemptパッチを適用したLinuxカーネルおよびソフトウェアプラットフォーム「OpenRTM-aist」を採用。これによりオープンソースのロボットシミュレータ「OpenHRP3」をはじめ、国内外の多数のロボットシステム用のソフトウェア資産が利用可能となり、さまざまな環境の下で稼動する人間協調型ロボットなど、今後のロボット産業で必要な次世代ロボットシステムの研究開発を加速することができるようになると産総研では説明している。

さらに、ロボットの安全要求に配慮して、すべての関節軸に80W以下のモーターを採用したほか、片腕の可搬重量は0.5kgとしている。背面には小型ノートPCが搭載可能であり、情報処理能力の拡張性にも対応することが可能となっている。

加えて、外観デザインは人との親和性を追求しており、「スリム・アスリート」のコンセプトがデザイン設計に盛り込まれている。

なお、川田工業と産総研では今後、人間型ロボットの研究開発を加速させるため、従来の研究開発用人間型ロボットHRPシリーズに比べた低価格化を図っていくほか、保守も含めたトータルな低価格化を図っていくとしている。HRP-4は川田工業にて受注生産し、2011年1月以降に国内外の大学・研究機関向けに提供される予定となっている。