凸版印刷は9月9日、同社朝霞フォトマスク工場内に、22nmおよび20nmプロセスに対応する半導体向けフォトマスク製造プロセスを構築したことを発表した。

同プロセスは、IBMとの共同開発の成果により実現したもので、これにより凸版は、22nmおよび20nmプロセスの半導体を開発する半導体メーカー向けに、試作用および量産用のフォトマスクを供給する体制を整えたこととなる。

同社は、IBMのウェハ技術チームとのコラボレーションにより、22/20nmプロセス世代でもArF液浸リソグラフィでの半導体製造を可能とするフォトマスク製造技術を開発しており、これは22nm以降の微細プロセスにArFを延命させることを目的としたダブルパターニングやSMO(Source Mask Optimization)などにも対応が可能。

同研究チームは新たなフォトマスク材料として「薄膜OMOG(Opaque MoSi on Glass)」を開発。同材料を取り入れたフォトマスク製造プロセスの特長としては、フォトマスクの平坦度改善、プロセスに起因する位置精度変化の低減、洗浄耐久性の向上、微細パターンの解像性向上、寸法精度の均一性の向上、などが挙げられ、薄膜化したフォトマスクを用いることで、プロセスの微細化で問題となってきたフォトマスクの膜の厚さによる透過光への影響を軽減できるようになり、結果EMFバイアスの低減やウェハ工程での生産性の向上、マスクパターンデザインの制限緩和が可能になるという。

なお、凸版では、薄膜OMOGを使用することで、フォトマスク自体の性能が向上するだけでなく、ウェハ転写時のメリットとの組み合わせ効果による、従来よりも優れたトータル・リソグラフィ・ソリューションが実現できるようになるとしている。