ゼットエムピー(ZMP)は8月3日、第2回「実践! ロボット教育・研究フォーラム」を開催し、ZMP代表取締役社長の谷口恒氏が、今後の新製品ロードマップを提示したほか、基調講演として早稲田大学の大貝晴俊教授による「自律制御・隊列走行の研究課題とその取り組み ~RoboCarによる隊列走行~」と題した講演や伊藤忠テクノソリューションズによるスマートグリッドと電気自動車(EV)の関連性、大学が同社ロボットをどのように活用して教育、研究を行っているのかなどの講演が行われた。

今回のフォーラムのテーマはロボットを活用したエンジニア育成・研究開発ソリューション「e-nuvoシリーズ」による教育シーンの活用はもちろん、エレクトロニクス化が進むクルマへの対応をいかに行っていくかということを主眼としており、同社の次世代モビリティ研究用プラットフォーム「RoboCar」などの活用事例などの紹介が行われた。

ZMP代表取締役社長の谷口恒氏

ZMP代表取締役社長の谷口恒氏はフォーラムの冒頭、自社の活動を振り返り「人型のロボットから始まったが、今ではさまざまなモノにロボットを入れ込んだ。例えば家電にも搭載してみたほか、早稲田大学とのコラボレーションによる姿勢制御用モーションセンサの商用化、自動車への技術的用などを進めてきた。特に自動車の開発はシミュレーションを行った後、実機へと移行するが、テストコースなどを持っていない部品メーカーや大学などは多い。そうしたところに小さなクルマということで、1/10スケールの「RoboCar 1/10」を2009年より提供を開始、1年間で部品メーカーや大学を中心に70ユーザーが活用するまでに成長した」と説明する。

RoboCarは上述のとおり、2009年よりRoboCar 1/10の提供が開始されているが、2010年11月には第2段となる実車に近いサイズでの研究開発が可能となる「RoboCar Micro EV」の提供が予定されているが、今回、新たに1/10スケールでもまだ大きいというユーザーの要望に応えるために2010年12月により低コストでコンパクトなRoboCarとして1/15スケールの「RoboCar 1/15 Lite」を販売することを発表した。

実車サイズ、ミニチュアサイズのRoboCarともに2010年後半から2011年度にかけて新製品の投入計画を発表

RoboCar 1/15 Liteの価格は赤外線センサを中心に構成することで29万8000円という価格を実現しながら、ITSを志向した通信環境として、車-車間通信をライブラリでサポートしているほか、車-路情報共有機能をライブラリでサポートしている。

また、通信の見える化を実現するためにすべての情報の発生、伝達、受理、参照状態をモニタリング可能なアプリケーションが付属している。

さらに、GPSの代わりに天井カメラを活用することで自動ナビゲーション走行が可能となるほか、RoboCar 1/10を先頭車両にすることで、群状態での自動運転による隊列走行の実現なども可能となっている。

1/15 Liteの受注は即日開始をしており、同社のWebサイトからも申し込みを受け付けている。谷口氏はRoboCar 1/15 Liteについて、「主に大学などでの研究用途がメインと考えており、発売1年間で200台を販売目標としている」とコメントしてくれた。

このほか、2011年度中にはRoboCar Micro EVの発展系として、一般車輌を改造してEV化、ロボット化した「RoboCar Convert EV」の提供も計画しているという。

なお、ZMPでは、今後もRoboCarを活用することで、カーエレクトロニクスの進化に対応できる人材育成をカスタマやパートナーと協力し推進していくとしている。

フォーラム会場にはRoboCar 1/10も展示。動画で活用デモの紹介などが行われていた