富士通フロンテックは、省スペース一体型POSターミナルの新製品として「TeamPoS 1100」を発売。8月上旬から出荷すると発表した。

省スペース一体型POSターミナル「TeamPoS 1100」

富士通フロンテック 経営執行役 流通事業本部長 松森邦彦氏

従来のTeamPoS 1000の後継機と位置づけられる製品で、レシートプリンタ部やバックアップバッテリー部を、ユーザー自らが簡単に交換できるようにしたことで、ローコスト運用を可能にしたのが特徴。POSの停止時間の削減にもつなげることができるという。

「従来製品では予備機として、POS本体そのものを保有する必要があったが、TeamPoS 1100では、部品レベルでレシートプリンタやバッテリを保有するだけで済むために、結果として運用コストの削減につながる。レシートプリンタの故障によって本体そのものを休止させることを回避でき、さらに部品交換をユーザー自ら行えるため、POSの停止時間を最低限にすることができる」(富士通フロンテック 流通事業本部長 松森邦彦経営執行役)とした。

また、保守要員によって実施されるハードディスクやマザーボードなどの交換作業なども、装置前面から作業が行える構造を継承。従来モデルに比べてネジの数を少なくするといった改良を加えることで、保守要員が分解/組立作業にかかる時間を約2分の1にまで短縮できるという。

前面のパネルを外すと簡単に保守ができる

このネジ部を取り外すとハードディスクおよびSSDの交換が可能

タッチパネルだけで操作が可能な店舗にはキーボードを取り外して提供できる

前面部からバッテリーの交換がユーザー自身でできる

レシートプリンタはユーザー自ら交換可能

富士通フロンテック 営業本部 販売推進統括部 第二販売推進部 担当部長 舞田光毅氏

一方、CPUにはインテルのCeleron550(2.0GHz)を搭載。従来機に比べて約3倍の処理性能を実現し、OS起動時間を約10秒高速化できたという。また、レシートプリンタも最大300mm/sの印字速度に対応する業界最速レベルのものを搭載。16階調印字やマルチフォント印字も可能としている。

80GBのハードディスクを最大で2基搭載できるほか、新たに30GBのSSDも用意した。「ハードディスクでは、通常の運用で約3年が寿命となっているが、SSDでは駆動部分がないため故障率が低く、約10年といった長寿命のため定期交換が不要というメリットがある。これにより高い信頼性を実現できる」(富士通フロンテック 営業本部 販売推進統括部 第二販売推進部 担当部長の舞田光毅氏)とした。なお、ハードディスクタイプではミラーリングに対応することで可用性を高めているという。

また、液晶ディスプレイ、電源ユニット、レシートプリンタを内蔵したオールインワン構造により、他社製品で多く見られる本体外部に置かれるACアダプタのための余分なスペースが不要となり、さらに操作エリアをPOS前面とすることで、オペレータの動きを最小限化できたという。

加えて、あらゆる売り場の設置形態に対応できるように、4方向への設置が可能な伸縮ポール型カスタマディスプレイをオプションで用意。プロモーションに便利な背面液晶ディスプレイや広告用のPOPを立てるスリットを用意するなど、店頭でのプロモーション効果を狙った設置が可能になる。さらに、新色としてロイヤルホワイトを用意。「白さが長持ちする新素材の採用により、従来に比べて約5倍の耐変色性を達成している」(松森経営執行役)という。

背面部は広告用のPOPを立てるスリットを用意するなどプロモーションにも効果

背面部のパネルを外したところ

「第1世代となるTeamPoS 1000では、百貨店を主要ターゲットに、デパ地下などの省スペース設置が求められる場所での導入を促進したが、新製品では、百貨店のほかに、専門店、外食産業、ショッピングセンターなどにもターゲットを広げ、今後3年間で、最低でも1万7,000台の出荷を見込む」(松森経営執行役)とした。

外食産業での利用などを想定して、濡れた手で操作しても可能なように防滴構造を採用している。

従来製品のTeamPoS 1000は、2004年から出荷し、これまでに2万台弱の出荷実績を持つ。新製品では、まずは既存製品のリプレースが中心になるとみているが、今後は、新規領域への展開を強化していく考え。

タッチパネル機能を搭載した液晶ディスプレイは、12型と8.4型を用意。価格は、87万8,000円から。

タッチパネル式液晶ディスプレイは、12型と8.4型を用意している

富士通フロンテック 営業本部 販売推進統括部 第二販売推進部 部長 伊藤聡一郎氏

富士通グループでは、2009年10月、富士通フロンテックに店舗ソリューションシステムを統合。今回の製品を「製販一体に統合した証ともいえるもの」と位置づける。

従来は、店舗系ソリューションの開発/製造は富士通フロンテック、営業/マーケティングなどは富士通がおこなっていたが、これを富士通フロンテックに一本化した。今回の製品は、事業統合後、初のPOSターミナルとなる。

「2009年10月の事業統合によって、店舗系システムの中核となるPOSやハンディターミナルの開発部門と営業部門が一体化したことでスピーディな提案と、店舗ソリューションの専任営業部門の組織化により、付加価値の高いサービスを提供することが可能になった。また、ヘルプデスクだけでなく運用ソリューション全体に関しても富士通フロンテック側に一体化したことで、製品品質のさらなる向上が見込める。店舗系システムの富士通フロンテックと、本部系システムの富士通が連携した提案が可能になる」(富士通フロンテック 営業本部 販売推進統括部 第二販売推進部 伊藤聡一郎部長)などとしている。