さらなる進化を目指しユーザーフレンドリ化を進めるP板.com
自分で設計したプリント基板を1枚から製造してもらうことが可能なネット通販専業のプリント基板ネット通販サービス「P板.com(ピーバンドットコム)」。2010年1月にはWebサイトをリニューアルし、よりユーザーフレンドリなデザインに変更、その後もユーザーからの要望を取り入れたサービスや、ユーザーの使い勝手を意識したサービスを次々と開始、企業から1個人まで幅広く、プリント基板を作りたいというニーズに対応しようとしている。
こうした動きはサイトリニューアル以前からも見られたが、リニューアル後はその勢いを加速、2月にブログ開設、3月にYouTubeに専用チャネルを開設、そして5月にはRoHS規制物質の不含有証明書のPDF出力への対応や、生産物賠償責任保険への加入など、矢継ぎ早にサービスの向上を目指した取り組みを進めてきた。こうした取り組みの目的や意義について、同サイトを運営するインフローのP板.com事業統括責任者の後藤康進氏と、同マーケティング営業チームの崔熙元氏に話を伺った(以下、敬称略)。
--Webサイトリニューアル以降のP板.comの動きを見ると、相当ユーザーフレンドリということを意識しているように思えるのですが。
後藤:やはり、顔が見えないからこそ相手を想像する楽しみがあり、ユーザーの皆様とのやり取りを楽しみたいという想いがあります。だからこそ、顔が見えない分、データのチェックを念入りに行ったり、ミス確認を念入りにユーザーとやり取りさせていただいたり、ということを意識しています。
崔:オンライン発注に興味はあるけど、(顔が見えないことによって)融通が利かないのではないか、という先入観を持っている人が多くいます。我々は基本的なやり取りはメールもしくは電話で行わせてもらっていますが、営業の人間は数に限りがあるので、すべてとは言えませんが、やれる限り呼ばれれば直接お話しをさせていただくという信念を持ち最善を尽くすサポートを目指しています。
--さまざまなサービスを開始されていますが、それも最善を尽くすサポートという考えから行われていると。
後藤:保険の開始もそうですし、春頃から元々行っていたチップコンデンサの調達から、調達範囲を拡張し半導体デバイスなどにも対応可能としましたが、こうしたサービスはすべてユーザーからの要望を取り入れさせてもらったものです。
部品調達に関しては、ユーザーから部品リストを預かって、そこに掲載されている部品で調達できるものについては種類などの制限なしに調達を行います。利用者としては主に、部品をいち早く調達して試作品の開発期間を縮めたい、という方で、そういう方たちは多少実装のコストなどがかかってしまっても、Web上で基板の発注から実装まですべて行うことで手間を省きたいという思いがあります。
また、我々としては、"納期は必ず守る"ということをモットーにしていますから、ユーザーとしても開発スケジュールに基板製造から実装までの期間を組み込みやすくできるというメリットもあります。
崔:そういった意味では、安かろう悪かろうというユーザーよりも、試作でも何でも、品質と納期、そしてサポートを心配する人に向いているサービスだと考えています。
--品質や納期をきっちりと守るのが日本メーカーの利点というのは昔から言われる話ですよね。
後藤:我々の基板製造も、コストなどの問題もあり台湾や中国の工場を使っています。しかし、そこに日本の管理システムを持ち込み、きっちりと進行と品質を管理する体制を構築したことで、海外の工場であっても、海外発注で生じやすい部品の欠如やパターンのズレのほか、シルクデータのランドやパッドからよけてはんだ付けができるようにしたり、ショート・導通の全数テストなどを実施し、品質の維持を実現しています。
こうした製品への信頼と品質は今後、大きな武器になると考えており、P板が責任を持った日本の品質というものを掲げて海外展開もできれば、という思いを持っています。
--そうした対応を大企業から個人ユーザー、ベンチャー企業まで幅広く提供しているということですね。
後藤:P板.comは1枚からの注文でも受け付けています。1枚からということで、大学生ユーザーなどからも注文を受け付けていますが、設計をどうしたら良いか困っている、といった相談を受けます。
崔:そうした困ったことに対する問い合わせなどは無料で対応させてもらっています。例えば、ソフトウェア畑の人がフィジカルコンピューティングなどに刺激を受けて、何か自分でも作りたいと思ったけど、どうしたら良いのか分からない。こういうのを作りたいけど、どうしよう。そういった悩みを持つ人はまずメールか電話をもらえれば、と思っています。どんな相談でもよいです。アイデアがあるのに、それを埋もれさせることは非常にもったいないと思ってますので、それを具現化できる手助けをさせてもらえれば、と考えています。
--そうした相談に対応するためのSNSもやってますよね。
後藤電気・電子エンジニアのナレッジポータルサイト「@ ele」というのをインフローとしてやってますね。これは、団塊の世代などが持っている電子工作などに関する膨大な知識を若い人たちに継承させたいという思いで立ち上がったSNSです。
そうした部分も含めて、P板から何か新しいモノが作り出されれば、と思っています。
--では、最後にこれを読んで電子工作に興味を持ってくれた人にメッセージを貰えればと思います。
後藤:P板を使ってもらえれば、誰でも高品質なプリント基板を作れるようスタッフ全員でサポートしていますので、何か電子工作で作りたい、という思いを持っている人は、気軽に本当に些細なことでもかまいませんので、問い合わせしてくれればと思います。
終始笑顔でプリント基板や電子工作に対する熱い想いを語ってくれた2人。ユーザーニーズへの対応を進めることはもちろん、電子工作という分野を盛り上げて行くために、多くの、それこそ電子工作を知らない人でも、何かちょっとした機能を欲しいときに、その機能を搭載したものをサクッと作れるような場所を提供できれば、という夢のような将来構想も語ってくれた |
--本日はありがとうございました。