日本オラクルは7月13日、連結経営管理を強化するアプリケーション製品群「Oracle Hyperion Financial Close Suite」を発表、同日提供を開始した。IFRS強制適用が2012年にも決定すると言われている中、国内企業はいまだ個々の会社単位の管理が中心であり、グループ企業全体を一企業体として捉えるIFRSの基準にそぐわない部分が多い。日本オラクル 執行役員 EPM/BI事業統括本部長 関屋剛氏は「日本企業が先送りにしてきた数々の経営課題が、IFRSによって"待ったなしの状態"となった」とし、「IFRSで求められるすべてのプロセスを包括的にサポートするOracle Hyperion Financial Close Suiteでもって、連結決算の早期化とデータ品質の向上を同時に実現し、日本企業の経営改革を支援していきたい」と語る。

IFRSにおいては、グループ子会社を抱える企業は、単体決算→データ収集→連結決算→レポート→開示という決算のプロセスを経る。ところが、日本企業は「親会社が個別に子会社に問い合わせるなど、全体的に無駄なプロセスが多いため、結果、収集データのボリュームが非常に多くなり、報告までに時間がかかる。開示報告の遅延は必然的に企業価値の毀損を招くため、可能な限り回避するべき」と日本オラクル EPM/BI事業統括本部 ビジネス推進部 部長 箕輪久美子氏は説明する。Oracle Hyperion Financial Close Suiteは、そうした一連のプロセスを、グローバル拠点をまたいで、迅速に行える点が最大の特徴だ。関屋氏は「Fortuneのトップ500社のうち、83%の企業がOracle EPM/BIのユーザーであることから、世界に目を向ければ"グローバル&連結経営といえばHyperion"というスタンダードが確立しているといっても過言ではない」としている。

日本オラクル 執行役員 EPM/BI事業統括本部長 関屋剛氏

日本オラクル EPM/BI事業統括本部 ビジネス推進部 部長 箕輪久美子氏

Oracle Hyperion Financial Close Suiteは以下のアプリケーションから構成される。

Hyperion Financial Management

本製品群のコアにあたる連結管理アプリケーション。収集したデータに対し、外貨換算/会計基準の組換え/連結処理などを行い、外部報告と内部管理用途のレポーティングや分析機能を包括的に提供する。

Hyperion Financial Data Quality Management

グループ内各社の会計システムから財務データを自動で抽出するアプリケーション。収集データの正確性を担保し、データソースがMS ExcelやSAP ERPなどでも組換えのファイルへドリルバックが可能。子会社の経理担当者でも簡単に導入できるインタフェースを備えている。

Hyperion Disclosure Management

Hyperion Financial Managementに蓄積されたデータを活用して各種開示書類作成および履歴管理を実現するアプリケーション。MS Wordを採り入れた使いやすいインタフェースが特徴。開示書類の文書ファイルはWord、PDFのほかHTML/XHTML、Edgar、XBRL形式で保存することが可能。

Hyperion Financial Close Management

単体決算から連結会計、情報開示に至るまでの全プロセスのスケジューリング/モニタリングを行うアプリケーション。業務フロー設定やアラート機能を備え、決算の早期化を支援する。

箕輪氏は「IFRS時代の連結管理システム構築に向けたアプローチ」として、日本企業が直面しなければならない3つのステップとして

  1. 決算早期化と徹底的な効率化
  2. "管財"一致連結と基盤の整備
  3. グローバルリアルタイムマネジメント

を挙げる。少なくとも1のステップ、つまりはIFRSに対応した決算開示が期限通りにできるまでにしておく必要がある。オラクルでは本製品の標準機能として、日本特有のビジネス事由や制度対応を考慮した「Japan Starter Kit」を提供するなど、EPM/BI事業部を挙げて国内企業のIFRS対応を支援していきたいとしている。