宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月23日、2010年8月2日にH-IIAロケット18号機を用いて打ち上げを予定していた準天頂衛星「みちびき」の打ち上げ延期を発表した。
これは、同衛星が搭載しているリアクション・ホイールに対し、6月17日に海外の製造メーカーより、他衛星用のホイールの回転支持部の潤滑剤に微量の不純物が検出され、問題の潤滑剤のロット確認を行った結果、「みちびき」搭載のホイール4台にも同ロットの潤滑剤を使用していることが判明。不純物が含まれた潤滑剤のホイールの性能、寿命に対して与える影響について調査検討を行っている旨の連絡を受けたことによるもの。
同報告を受けたJAXAでは、3つの案について検討、それぞれのトレードオフを行った。1つ目は「現品の寿命性能評価を確認の後そのまま使用」というもので、10年以上の長期的な軌道上運用への影響を評価するための試験を、製造元で計画しているが、試験の評価が終了するのは早くとも2010年12月末となる見込みという結論となった。
2つ目は「新規ホイールへの交換」で、製造元で製造中のホイールを「みちびき」用に改修するには、「みちびき」に適合する電気回路を組み込み、試験をする必要があり、数カ月の時間を要するという結論となった。
そして3つ目は「現在のホイールの部品交換」で、ホイールを取り外し、製造元において、回転支持部の交換を行うことで、これは1カ月での交換、交換後試験が可能であるとのことで、3つ目の案が採用されることとなった。
なお、みちびきの現在の状況は、推薬充填の直前で射場作業を中断している状況で、6月24日にホイールの衛星からの取り外しを実施、製造元に輸送。その後、ホイールの部品交換、交換後の試験を実施し、ホイール輸送後、衛星へ再取り付け、確認後、射場作業を再開する予定としており、早期の打ち上げを目指し、万全を期して作業を進めるとJAXAではしているが、新たな打ち上げ予定日の詳細はまだ決定されていない。