大日本スクリーン製造(DNS)と岐阜大学は、次世代の低コスト太陽電池として期待される薄膜シリコン太陽電池パネルの、a-Si膜特性を解析する技術を開発、DNSが手掛ける「分光エリプソ式膜厚測定装置」に搭載し、2010年秋の実用化を目指すことを発表した。
薄膜シリコン太陽電池は、結晶系の太陽電池に比べ発電効率は落ちるものの、大面積の電池パネルを少量のシリコンで生産できるため、低コストで製造可能で用地に余裕のあるメガソーラーなどの大規模発電用途として期待されている。
しかし、ガラス基板上にa-Si膜が生成される過程で取り込まれる過剰な水素が光劣化の原因となっており、高効率化を目指す多接合型薄膜太陽電池にとって問題となっていた。
同課題に対し、これまで薄膜太陽電池の製造時における水素含有量を正確に解析する技術が確立されていなかったため、電池パネルの性能や安定性の向上、生産の合理化が難しく、この水素含有量を解析しコントロールする技術の確立が求められていた。
DNSと岐阜大学は、2008年11月から薄膜シリコン太陽電池の解析についての共同研究を進めてきており、今回、発電ロスが少なく安定した電池パネル生産に向けたa-Si膜の解析方法の実証に成功。従来の技術では不可能とされてきた、光劣化の的確なコントロールに役立つ情報の数値化を可能にした。
同成果は、同社の分光エリプソ式膜厚測定装置の計測機能として搭載され、従来からの特長である非破壊・非接触による膜厚測定に加え、膜質まで正確に解析できる装置として製品化が進められる予定だ。
なお、DNSと岐阜大学は、今回の産学連携研究を通して分光エリプソ式膜厚測定装置の機能のさらなる強化を図り、成長が見込まれる太陽電池業界を担う新たな製造プロセスの確立を目指すとしている。