2010年4月1日付けで電池システム社を発足させ、リチウムイオン電池を軸とした電池事業の強化を進めている日立製作所は、従来の鉄道や環境対応車向けのみならず、今後は無停電電源装置やスマートグリッドなど大型産業用途を対象とした電池制御システムおよび保守・サービスを含めた電源ソリューション事業を推進していくことを発表した。

日立グループとしての電池事業が目指す方向性

社内カンパニーである電池システム社は、日立マクセルと日立ビークルエナジーを構成会社としており、電池セル単体を販売する事業の拡大とともに、電池の充放電を最適な状態に制御するシステムおよび、保守・サービスも含めた電源ソリューション事業への展開を進めていく計画で、同システムには同社グループ内の各事業で培ってきた制御技術を活用するとともに、大型産業用電池事業の推進には、鉛蓄電池事業およびリチウムイオン電池事業を行っているグループ会社の新神戸電機との連携を図っていくという。

電池システム社の構成

すでに5月より大型産業用電池事業の強化の一環として、スマートシティ向けなどを視野に入れた大型産業用電池に関するグループ連携の開発プロジェクトを発足させており、広範囲な産業用途に標準的に適用可能なセルおよび制御プラットフォームの開発が開始されており、同プロジェクトに対し、3年間で50億円の投資が行われる計画となっている。

電池技術の開発を強化する方針

また、日立マクセルも6月17日に中小型産業用向けラミネート型リチウムイオン電池の生産設備に約20億円を投資し、2011年4月より量産を開始する計画を明らかにしている。

ラミネート型リチウムイオン電池生産に向け20億円を投資

同社のラミネート形リチウムイオン電池は、独自開発の耐熱セパレータとマンガン系正極材料の採用により、安全性を十分に考慮した設計とするとともに、アルミニウムラミネート外装を採用しており、放熱性に優れた構造を特長としており。安全性と長寿命の両立が図られている。

投資が行われるのは、ラミネート形リチウムイオン電池の組立実績のある富山工場(旧 マクセル北陸精器)で、約20億円の設備投資により、独自の高精度組立技術を採用するとともに、種々のサイズに対応可能なフレキシブルな生産ラインを構築する予定。また、高効率生産のために投資効率を追求して年間80MWhの生産能力を実現しており、今後、産業用途のキーデバイスとして幅広い分野に展開していくとしている。

なお、日立では、こうした取り組みにより2014年度に電池システム社の売上高2,500億円を目指すとしている。