東京 表参道にあるアドビの期間限定ギャラリー「station 5」にて、「After Effects CS5」のセミナー「AEP NIGHT」が開催された。イベントを主催したのは、After Effectsのユーザー同士が情報を共有するコミュニティーサイト「AEP PROJECT」の企画・運営を行なっている緒方達郎氏(Vilvo Designworks)。緒方氏はフリーランスでCMや街頭ビジョン映像などを制作しているビジュアルデザイナー。
「After Effects CS5」と3DCGツールを活用する
緒方氏はAfter Effects CS5と、3DCGツール「CINEMA 4D」を使った映像制作テクニックを紹介した。After Effectsは3D機能を搭載しているが、緒方氏は「このツールだけでは『いかにも3D』という立体のオブジェクトは作れない。なので別途3DCGツールが必要です」と語り、CINEMA 4Dの解説を始めた。
CINEMA 4Dはモジュール方式の3DCGツールで、本体プログラムにモジュールを追加することにより、さまざまな機能拡張を行なえる。緒方氏が今回デモンストレーションに使ったのは「ブロードキャストエディション」という製品。このパッケージには、オブジェクトを動かしたり簡単に複製できる「モーグラフ」と呼ばれるモジュールが搭載されている。緒方氏は球体や立方体を多数複製し、物理演算を使ってアニメーションさせた。会場に持参したのは一般的なノートPC(Mac Book Pro)だったが、リアルタイムでストレスなく動作させていた。
作成したアニメーションをAfter Effectsに取り込む方法も紹介された。CINEMA 4Dはレンダリングの際に「aecファイル」の出力も行なえる。このファイルをAfter Effectsで開くとレンダリング画像が貼り付けられたコンポジションが作成され、CINEMA 4Dで作ったカメラやライト、平面の動きまでも取り込んでくれる。このデータを使って、緒方氏はAfter Effects CS5を使って絵を作り込む作業に移った。緒方氏がこだわったのは、実写映像の表現。今回紹介したのは、別売の「Magic Bullet Looks」(マジック ブリット ルックス)というプラグイン。これを使うと色収差を発生させたり、周辺光量を落とせる。緒方氏は「少し現実っぽい表現が好き。無機質な3DCGを扱うといかにもCGという感じがするが、そんなCGにあえて実写映像に発生するようなノイズ効果を加えるとおもしろい映像ができる」と、クリエイターならではの味付け方法を紹介した。
「After Effects CS5」だけでできる実写合成テクニック
セミナーにて、映像クリエイター 鈴木辰顕氏が紹介したのが、友人の結婚式用に作ったという映像。この作品では別売のプラグインを使っておらず、After Effects CS5(※「CS4」でも可能)だけで制作したという。映像の内容は、動いている新郎新婦の背中にさまざまな文字を合成するというもの。文字の動きはAfter Effectsにバンドルされているトラッキングツール「Mocha」を使って制御していた。Mochaのトラッキングはとても優秀で、多少ならば3次元の動きにも追従するそうだ。
TVCMのような映像を作れるプラグイン「Trapcode Particular 2」
続いては別売プラグインを使った作例が紹介された。登壇したのはフラッシュバックの岡本智氏。今回岡本氏が紹介したのは、光の効果を作成する「Trapcode Particular 2」。公開されたのはギターを弾く女性が映っている映像で、女性の動きに合わせてギターから光の波が放射されていた。光はTrapcode Particular 2で生成している。このプラグインの「パーティクル補助機能」を使うと、パーティクルからパーティクルを発生することができ、花火や煙のエフェクトを作るときにも効果的とのこと。光のエフェクトができたら、最後の仕上げにカラーコレクションプラグイン「Magic Bullet Mojo」で色を補正する。このプラグインの特徴は、他のカラコレ用プラグインに比べてインタフェースがシンプルなところ。背景を押さえて人物だけを際立たせたいときには、威力を発揮するそうだ。
「Adobe CS5」体験版はこちらから